日本相撲協会は12日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、年寄名跡証書の引き渡しを求めた訴訟の8月の1審判決で、証書を所有する対価として1億7160万円の支払いを命じられた春日山親方(39=元前頭浜錦)に、自ら師匠を辞任するよう全会一致で勧告した。

 親方が「少し時間をください」と申し出たこともあって、回答期限は19日午前10時まで1週間の猶予が与えられた。

 勧告に従わない場合、協会は同親方と結んでいる人材育成業務の委託契約を解除する。従った場合は、春日山親方の現役時代の師匠である追手風親方(元前頭大翔山)に「預かり」という形で、春日山親方や部屋の力士らを受け入れてもらえるよう調整する。いずれにしても、九州場所(11月13日初日、福岡国際センター)から「春日山部屋」の名前が消えることになった。

 春日山親方は控訴しているものの、相撲協会としては1審判決を受けて「1回、結論が出た」(春日野広報部長=元関脇栃乃和歌)と判断した。加えて、同親方は1審判決を受けて夏巡業の審判を外れた際「部屋の力士と寝食を共にして、稽古や生活指導をしっかり見るように」と言われていたが、協会の調査では9月の秋場所中、1度も部屋に行かなかったという。理事会でそのことを問われた同親方が「その通りです」と認めたこともあり、外部理事の高野利雄危機管理委員長(元名古屋高検検事長)は「師匠としてお任せできない」と判断した。

 今後は、春日山親方に代わる新たな師匠が現れれば、部屋の再興も認められるという。

 過去、木瀬部屋が10年5月から「出羽海一門預かり」となって約2年間、力士27人らが北の湖部屋に転属していた例などがある。