大相撲の前頭逸ノ城(26=湊)が、意外な弱点を告白した。12日、神奈川・川崎市で行われた春巡業に参加。この日から取組を開始し、前頭妙義龍を193センチの長身と、関取衆最重量の226キロの重さで圧倒し押し出し。涼しげに引き揚げた。

3月31日から始まった今回の巡業だが、この日まで取組を行っていなかったのは、春場所千秋楽に患ったぎっくり腰が原因だった。千秋楽は14勝目を挙げ、結びの一番で全勝の横綱白鵬が敗れれば、優勝決定戦にもつれ込む展開。緊張感を維持しながら出番を待っていたが「ちょうど、白鵬関の取組を見ようと思って(支度部屋で)立ち上がった時に痛みが出た」と明かした。結局、白鵬が全勝優勝したため、再度、土俵に上がることはなかったが「あのまま上がっていたら…」と、腰痛悪化を想像して、大きな体を震わせていた。

だが、本当に震えるほどの恐怖を味わったのは、その後だったという。治療法に選んだのはブロック注射。やはり、226キロの巨体、さらには分厚い脂肪の持ち主だけに、一般で使用されている注射では歯が立たない。満を持して医師が取り出したのは、針の長さが10センチもある注射だったという。「普通の針だと届かないみたい。もう、こ~んなに針が長くて」と、少し大げさに手を広げながら説明。「しかも2本ですよ。うわ~、もう」と、思い出しただけで体を震わせていた。

関係者によると、逸ノ城は規格外の体形のため、多くの医師は注射に踏み切りにくいという。そんな中、手を挙げてくれた医師には「今は痛みは全然ない」と、この日の早期復帰に感謝する。それでも、長い注射針の印象が強く残っているようで「本当に注射が嫌いになりました」と、悲しそうな目で再発に注意することを誓っていた。

一般的には、立ち合いの激しい体のぶつけ合いの方が痛そうに見えるが、逸ノ城は「それは全然。大丈夫です。注射に比べたら」と、雲泥の差だと語った。そんな苦い経験があっただけに、今後の巡業では「稽古で相撲も取っていきたい。焦らずに」と、腰痛が治り、随所に笑顔を見せながら話していた。