新入幕の東前頭14枚目翔猿(28=追手風)が、関脇正代に惜敗して優勝を逃したものの、千秋楽まで場所を盛り上げた。

真っすぐ当たって優勝力士を追い詰めた。勝てば優勝決定戦にもつれ込む、結び前の一番。正代のぶちかましをまともに受けず、突き押しで攻め込んだ。左からいなして素早く回り込むともろ差しに。土俵際まで追い込んだが、逆転の突き落としを食らった。

敗れて土俵下に降りる際は、口をすぼめて悔しさをにじませた。「優勝のことはあんまり考えていなかった。とりあえずこの一番に勝ちたかった。前に出たけど詰めが甘い。悔しさが大きい」。両目が充血して泣いているようにも見えたが「泣いてはないけど、悔しい表情はしていたかもしれない」という。それでも新入幕ながら11勝4敗の好成績で敢闘賞を受賞。「目標だった三賞、2桁を取れてうれしい」と素直に喜んだ。

上位を相手にしても小細工なく立ち向かった。「相手のかたちになると勝てない。5日目もけがしそうになった。引かないで前に出る相撲を心掛けた」。来場所は大きく番付が上昇する。「たまたまだと思われないように、来場所はもっと稽古を積んでいきたい」とさらなる飛躍を誓った。