10代三保ケ関親方(元大関増位山)で歌手の増位山太志郎(72)が“同郷”の貴景勝にエールを送った。

東京生まれ東京育ちだが本籍は父、9代三保ケ関親方の大関増位山と同じ兵庫。2度目の優勝を果たした兵庫出身の貴景勝を「突き押しで迷いのない相撲を取っている。日々の鍛錬の成果だろう。若いのにけれん味がない」と評価した。

同じしこ名の父は、大関2場所目で優勝しながらけがや病気と苦闘して在位4場所に終わった。「俺なんかの大関は本当に“引っかかった”大関だけど、うちのおやじは横綱に上がってもいい大関だった」。若き大関に、親子でかなわなかった横綱昇進を期待する。

同郷以外に、期待する理由はもう1つ。自身が幕内だった27歳の時に15歳で入門してきた北天佑の次女、千葉有希奈さんと貴景勝が8月に婚約した。発表前に北天佑の栄美夫人から電話で報告を受け「運命を感じた」と感慨深げに話す。

自身が三保ケ関部屋を継承して北天佑の師匠となった時期もあるが、北天佑への期待値は計り知れないものがあった。「うちのおやじは『北天佑を横綱にできなかったことが一番の悔いだ』と言って死んだ。その北天佑の娘さんが貴景勝と間柄になって、これも因縁だと思う」。

最後に会った有希奈さんは幼かったため、記憶はあいまいだが、母の栄美さんから「すごく面倒見がいい子と聞いている。精神的にも支えがあれば違うものも生まれてくる。好きな人が横にいたら気持ちの安らぎ、いてくれるだけでホッとするっていうのがあるから。二人三脚で頑張ってほしい」。貴景勝の夢は、周囲のみんなの夢でもある。【佐藤礼征】