力士の健康面で危険な場面があり、日本相撲協会の審判部は初場所後に新たなルール作りに取り組む方針を固めた。

きっかけは、10日目の幕下の湘南乃海(22=高田川)-朝玉勢(27=高砂)戦。最初の立ち合いで頭同士がぶつかったが、手つき不十分で立ち合い不成立となった。やり直すはずが、湘南乃海は脳振とうを起こしたとみられ、フラフラになり、立ち上がれない。急きょ、審判団が協議した。

この時の様子を、審判長を務めていた片男波親方(元関脇玉春日)が証言した。

「『行司待った』だったけど、頭同士が当たり、(湘南乃海が)フラフラして危なかった。まずは時間をあけることが大切だと思いました。初めてのケースだったので、こういう場合はどうすべきか(ルールが)確立されていませんでした。審判団で話し合い、本人ができそうかどうか、確認することにしました」

湘南乃海は土俵下で間を取ることで回復。審判からの意思確認に対し、取組続行を表明したため、仕切り直しとなった。湘南乃海は胸から立ち合い、はたき込みで白星。勝ち越しを決めた。

審判部ではこの取組の危険性が指摘され、このような場合は、取組をやり直さないことをひとまず部内の一部で申し合わせた。

湘南乃海の師匠で、審判部副部長の高田川親方(元関脇安芸乃島)は「あのような時、本人は取りたいというが、危険な行為はさせられない。今まではこういうケースがなかったので、決まりがなかった。この場合は、負けにしなきゃだめ。今日の今日なので協会の内規にはなっていませんが、協会として安全に配慮していきます」と説明した。別の協会理事によれば初場所後に、審判部として話し合っていくという。

高田川親方によれば、湘南乃海は国技館内の相撲診療所と、墨田区内の病院で検査を受け、体調に問題がなかったことが確認された。

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