日本相撲協会が定める新型コロナウイルス感染対策ガイドラインに違反して不要不急の外出をしたと報じられ、夏場所12日目の20日から休場する大関朝乃山(27=高砂)について、芝田山広報部長(元横綱大乃国)が「非常に遺憾である。コロナ禍において重大な不祥事だ」と語気を強めた。

朝乃山は20日発売の「週刊文春」で夏場所2日前のキャバクラ通いが報じられた。前日19日には協会の事情聴取に対して当初は「事実無根」と主張していたが、打ち出し後に再度行われた聴取で一転、事実を認めていた。

再度行われた聴取について電話取材に応じた芝田山広報部長は「本人は否定していましたが、週刊誌の記事と本人の聴取の内容に齟齬(そご)があったので、再度、昨日の場所がはねた後に本人と師匠に話を聞いたところ、それでも本人はなかなか首を縦に振らなかったそうですが、いろいろと話を聞いて突き詰めていったら、本人が認めたということ」と説明した。

今後はコンプライアンス委員会が調査を進め、理事会を前に処分意見を検討し、八角理事長(元横綱北勝海)へ答申する。

ガイドライン違反に加えて緊急事態宣言下、さらに朝乃山は大関という看板力士の立場だ。「こんなコロナ禍の大変なときに、大事な本場所に大きな穴を空けたということは重大な責任である。協会の最高位である看板を背負っている本人が穴を空けたということには、重大な不祥事だということ」と同広報部長。場所前に力士を含めた全協会員を対象にPCR検査をしており、朝乃山が外出した5月7日は検査後にあたる。「万が一感染したら、お客様にも裏切り行為になる」と怒りを込めた。

師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)は、朝乃山の休場理由について、師匠の判断による「謹慎」と説明している。協会の調査に対して1度は報道を否定したものの、一転して事実を認めたことについては「そのことはノーコメントで」と言及しなかった。

朝乃山は今場所、11日目まで7勝4敗の成績を収めており、再出場しなければ来場所はかど番になる。