東前頭筆頭の高安(32=田子ノ浦)が、悲願の初優勝に王手をかけた。東前頭15枚目輝をはたき込みで下して2敗を死守。単独トップで千秋楽を迎えることになった。3敗は大関貴景勝と平幕阿炎の2人で、千秋楽は阿炎との直接対決が決定。負けると優勝決定戦にもつれ込むだけに、しっかりと本割で優勝を決める。

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重圧に負けなかった。勝てば初優勝に王手がかかる一番。立ち合いは今場所調子のいい、強烈な右のかち上げで攻めに入った。受け止められ、左のおっつけをくらったが崩れない。押し込んだ土俵際で回り込もうと動かれたが落ちなかった。反撃を受けて引いてしまったが、ここでも耐えた。輝が前のめりになると、タイミングよくはたき込んで2敗を死守。「立ち合いは良かったけど押し込めなかった。決め手に欠いた。引く場面もあった。内容は良くないけど、前向きに明日やりたい」と引き締めた。

いよいよ、賜杯が目前に迫った。今年は春場所と秋場所で優勝争いをするも、あと1歩で逃しただけに、三度目の正直。27日の千秋楽には、地元の茨城・土浦市役所でパブリックビューイングが実施される。「声援が僕の力になる。期待に応えたい。精いっぱいやりたいです」と意気込んだ。茨城出身力士としては、元横綱稀勢の里(現二所ノ関親方)以来、8人目の優勝がかかっている。

大関経験のあるベテラン。「本当にいい相撲を取りたい。来年につなげたい」と意気込んだ。一年納めの混戦場所を、悲願成就で締めくくる。【佐々木隆史】

【写真特集】高安-輝、阿炎-豊昇龍、貴景勝-王鵬、御嶽海-正代/九州場所14日目