「鉄人」が、ついに歴代1位の大記録に並んだ。現役関取最年長で東前頭10枚目の玉鷲(39=片男波)が、初土俵からの通算連続出場を、元関脇青葉城に並ぶ歴代1位の1630回に伸ばした。04年初場所の前相撲で初土俵を踏み、翌春場所で番付に初めてしこ名が載ってから20年半。休まず出場し続けて打ち立てた金字塔に、土俵入りから万雷の拍手で迎えられた。前頭佐田の海にはたき込まれ、初日から2連敗となったが、11月には40歳になる今も全力で戦い続けている。

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片男波部屋の若い衆が生活する大部屋の壁には、明らかに周囲とは異なる変色した箇所がある。幕下時代の玉鷲が1年間、地方場所で不在の間以外、同じ場所に頭をグリグリと押しつけて寝ていたためだ。毎日少量ずつ、びん付け油が付着し、壁は変色した。玉鷲は当時を「首を痛めて本当にきつい時期だった。骨も異常があったと思う。首を筋肉で固めるため、壁に頭を押しつけて横になっていたら、壁の色が変わっちゃった」と笑って振り返った。

痛む首に負荷を掛けるため、当然激痛が走る。心休まるはずの睡眠時間が、辛い時間になった。それでも当時知り合ったトレーナーから「荒療治だが将来を考えれば、首の筋力強化が力士生命を延ばす」と言われ、四六時中痛みに耐える生活を1年間続けた。「自分の相撲は頭から当たるから首は大事だった。あの時に首を治せたから今がある」。そんな玉鷲の努力がにじむ壁を見て、片男波部屋の力士は玉鷲への尊敬の念を深めている。【高田文太】

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