現役引退と年寄「桐山」の襲名を発表した元関脇の十両宝富士(38=伊勢ケ浜)が2日、東京・両国国技館で会見した。2009年初場所初土俵から休場なしの1398回連続出場記録は歴代6位、幕内連続出場990回は同7位。通算99場所で678勝720敗と戦い続けた現役生活に「やり切った」と別れを告げ、今後は後進を指導する。

引退の決め手は「どうしても体が動かなくなり、度々けがも増えていった」。秋場所前の太もものけがの影響もあったという。

力強い左四つの取り口で長く活躍してきた。15年名古屋場所で新小結、16年秋場所で新関脇を務めた。約16年半の力士生活で一度も休場せず、連続出場回数を伸ばしてきた。

「引退するまでは休まない。自分の中で休む時は引退する時」。そう心に決めていた。

しかし、西前頭8枚目だった今年の初場所以降、5場所連続負け越し。秋場所は東十両12枚目で5勝10敗と、来場所では10年秋場所から15年間守り続けた関取の座から幕下に陥落する可能性が高くなっていた。

長らく、現役力士として土俵に立ち続けた兄弟子を見守ってきた5歳下の伊勢ケ浜親方(33、元横綱照ノ富士)も「現役の時から育ててもらった先輩でもあり、この年まで相撲を取り続けたということも本当にすごいこと。本当に『部屋の宝』という思い」とねぎらう。

また、青森県北津軽郡中泊町出身でもある宝富士。秋場所は弟弟子の東前頭12枚目の尊富士(26)が全休し、142年続く青森県出身の幕内力士の伝統が途絶える危機にもなっていた。

それでも、幕内昇進を濃厚にし、歴史をつないだ十両の錦富士(29)が「宝富士がつないでくれたから」と話していたように、長く郷土の歴史を守っていた兄弟子なしでは語れなかった。

今後は年寄「桐山」として伊勢ケ浜部屋の部屋付き親方となるが、「自分たちの時に(青森勢の幕内の歴史を)閉ざしたら、絶対にダメだと思ってやってきた。今は錦富士や尊富士と後輩も出てきたので、安心して任せられる。でも、その次がまだ育っていない」とすでに未来を描いている。

指導者としても伝統死守をバックアップしながら、角界に情熱を注いでいく。