ウクライナ出身の関脇安青錦(21=安治川)が初優勝し、大関昇進を確実にした。

本割で大関琴桜を内無双で倒して12勝3敗。優勝決定戦は横綱豊昇龍を送り投げで破り、賜杯を手にした。戦禍を逃れて来日して約3年半。初土俵から所要14場所での大関昇進は、琴欧州の19場所を抜いて史上最速記録(年6場所制以降初土俵、付け出し除く)。あこがれていた大相撲の舞台で結果を出し、母国に朗報を届けた。

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大関に昇進する安青錦は、日本文化への理解が深い。24日、優勝一夜明け会見は、宿舎を構える福岡県久留米市の水天宮で行った。居心地を問うと「元々、神社とか、そういう場所が好きなんで。すごく落ち着いてるところですね」と話した。

新弟子検査からまだ2年半だが、大相撲の世界観をよく理解している。安治川親方(元関脇安美錦)は「私が『ん?』と思った時の表情も読み取る。分からなかったら聞いてくる。そこはすごくしっかりしてくれている」と話したことがある。安青錦は師弟関係の重要さも理解し、表面上だけでなく「師匠の言うことを聞いてきたから今がある」と真剣に言う。

10月に元横綱若乃花の花田虎上さんと対談を企画した。安青錦は予定の20分前に、安治川部屋の上がり座敷にやってきて、座る位置を気にした。どちらが上座なのか、どちらに座った方が失礼にならないか。「会見の時は、師匠はこっちだったかな…」などと言いながら、花田さんを待った。

対談の最後に、色紙への連名でのサインをお願いした。すると、横綱と名前を並べることに「顔じゃないです」と言って遠慮した。花田さんが「いいんだよ。そんなの気にしないでよ」と言ってからようやくサインしてくれた。

素顔は表情豊かな青年だが、土俵の上では力士であることを自覚している。正々堂々と戦い、土俵態度もいい。和の心を備えた新大関が誕生する。【佐々木一郎】

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