大関安青錦が熱海富士に敗れ、4敗目(3勝)を喫した。残り8日間すべて勝てば11勝4敗となり、優勝もしくは優勝に準ずる成績となる可能性は、数字上は残る。しかし、平幕から3敗したこと、三役以上の対戦を4番残すこと、さらに現在の調子を考慮すると、今場所後の横綱昇進は残念ながら絶望的。1場所15日制が定着した1958年以降、直近場所を11勝4敗で昇進した横綱はいない。
来場所の成績次第で昇進する可能性をつなぐには、これ以上は負けられない。昇進する直近2場所に11勝以下が含まれる横綱は、1970年に10勝→13勝で昇進した51代横綱玉の海までさかのぼる。今場所の優勝ラインがどうなるか分からないが、優勝に準ずる成績に届かなければ、綱とりはリセットされる。
ただし、安青錦が先場所まで2場所連続優勝を果たした実力者であることは変わりない。急成長ぶりは誰もが認めるところで、21歳の年齢を考えても将来の横綱候補であることも変わりない。
今場所は産みの苦しみかもしれないが、いずれチャンスは来る。八角理事長(元横綱北勝海)は6日目の取組後「(苦しんだ経験が)なくて上がっても大変だから、いいんじゃないか」と将来に期待した。
横綱は勝てなくなれば引退するしかない。苦手の相手、苦手の取り口を残したまま上がると、その後は苦労しかねない。安青錦が将来、強い横綱として君臨するために、この苦しみを糧にするしかない。【佐々木一郎】

