AKB48チーム8が22日、AKB48劇場で新公演「その雫は、未来へと繋(つな)がる虹になる。」初日を迎えた。AKB48の隠れた名曲を中心に、汗や涙、雨など「雫」に関連するワードを含んだ楽曲を、湯浅順司プロデューサーが丁寧に選曲した。

セットリストの中に、気になる曲があった。「ライダー」。06年に前田敦子、高橋みなみ、篠田麻里子らが在籍していた当時のチームAの劇場公演の楽曲で、実在したある男性ファンを歌っている。グループの活動初期からのファンだったこの男性は、同年6月、訪れたAKB48劇場で倒れ、その後亡くなった。よくバイクで劇場に通っていたことから、仲間内では「ライダーさん」と呼ばれていたという。話を聞いた総合プロデューサー秋元康氏が楽曲化し、上演当時はライダーさんの推しメンだった駒谷仁美、渡辺志穂(ともに現在は卒業)がセンターを務めていた。

ライダーさんへのレクイエム的な楽曲だが、「最後にサヨナラくらいは言わせて欲しかったよ」という歌詞や、ポップで明るい曲調が逆に切なさを感じさせる。今公演で「ライダー」を担当したのは、岡部麟(22)人見古都音(17)太田奈緒(23)寺田美咲(18)川原美咲(16)の5人。湯浅氏は「現チームAキャプテンの岡部さんを中心に選んだ」と話したが、5人とももちろん、当時のことを知らない世代だ。岡部は「ライダーさんの出来事は知っていたけれど、曲は聞いたことがなかったんです。だから、(今公演の中で)一番『こんな曲だったんだ』という驚きはありました」と素直に明かし、まっさらな気持ちで「ライダー」という楽曲に取り組む決意を明かした。

湯浅氏は、「AKBは12年たっても、この場所でこの歌を歌っているんだよ、ということを伝えたかった」と、「ライダー」を採用した理由を説明した。12月で旗揚げ13年。AKB48が、1人1人のファンを大事にしてきた証しを、これからも大事にしてほしいと願う。