舞台はニューヨーク州のハドソン川沿いにあるシンシン刑務所。灰色の巨大な壁と、狙撃手が配置された八角形の監視塔に囲まれた監獄は最重警備のセキュリティーを誇り、殺人などで有罪になった服役囚が収容されている。
更生プログラム(RTA)の一環として、刑務所内で行われている「舞台演劇」を通し、服役囚たちが人生を変えていこうと模索する物語。驚くのは、主要キャストの8割以上が実際にシンシン刑務所の元服役囚であること。しかも実話がベースなので、生の声がリアルすぎる。
名優コールマン・ドミンゴが無実の罪で収監されたディヴァインGを演じ、問題児ディヴァイン・アイ役は元服役囚のクラレンス・マクリンが起用された。稽古に不満を募らせ、ナイフを隠し持つアイを“指導”するGとのやりとりはハラハラした。「いる物は俺が決める。俺や俺の物を誰も守っちゃくれねえ。ニガをナメるな」と声を荒らげるアイに「ここでは“ニガ”と言わず“相棒”と言う。覚えとけ」。
社会への怒りを抱えたまま刑期を終えるのか、それとも…。演技を通じて心を解放していく姿は自由そのものだ。【松浦隆司】
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