NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」(月~土曜午前8時)で、福原遥(24)が演じるヒロイン・岩倉舞の父・浩太役の高橋克典(57)を先日、取材する機会がありました。浩太は東大阪の町工場を経営する2代目社長。当初、高橋がイメージしていた「大阪のオヤジ像」があったそうです。「ソース2度漬け禁止」で知られる大阪の老舗の串カツ店「串かつだるま」のマスコット人形「だるま大臣」のモデルとなった運営会社の上山勝也会長でした。

高橋によると、「大阪という感じの人をプレゼンしたら、『浩太さんは、それじゃない』『ガツッとした男っぽい感じはなしにしてください』」と“ダメ出し”があったそうです。

神奈川県出身の高橋にとっては「大阪のオヤジ」と言えば、「だるまの上山会長」でした。「だるま大臣」は、こわもての職人をイメージし、かっぽう着姿で両手に持った串カツを胸元で交差させています。関西ではなじみのある「オヤジ」です。

浩太は重工メーカーに勤めて飛行機を製作する夢を抱いていましたが、父親が病死したため退職し、ネジを作る東大阪市の工場を継いだという設定です。

劇中では「オヤジ」ではなく、舞や家族から「お父ちゃん」と呼ばれる浩太。「この人が2代目を継いでも、大丈夫かな。そういうイメージ」で演じているそうです。

ねじ職人であり、経営者でもある「お父ちゃん」の工場のある東大阪市には約6000の工場が集まります。技術力が高く「東大阪市で作れないものはない」と言われています。劇中では、難しいネジ作りをあきらめずに、高い技術力で、経営不振の難局を打開しました。

長引くコロナ禍で飲食店もエンターテインメントも大きな打撃を受けました。高橋は言います。「脚本が素晴らしい。ページをめくるごとに毎回泣かされます。舞は大学生になって、ここからさらにこれまでと違った感動がある。夢を見る力、幸せになることをあきらめない力。(コロナ禍で)疲弊しきったわれわれの胸にたまったうみを涙で押し流してくれるすてきなメッセージがたくさんつまっています」。

ガシャコン、ガシャコン、1つ1つのねじの精密な機械のセッティングを頭にたたき込むねじ職人、ひと串ひと串と向き合いながら揚げたてを提供する串カツ職人。職種は違いますが、向き合う気持ちは同じです。

劇中で浩太は「酔っぱらうと、だんだんオッサンになっていく」といいます。「お父ちゃん」の根底にはコテコテの「大阪のオヤジ」がいます。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

大阪・ミナミの道頓堀にある「だるま大臣像」(撮影・松浦隆司)
大阪・ミナミの道頓堀にある「だるま大臣像」(撮影・松浦隆司)