毎日のようにラジオを聴いていると「おや?」と、気になることに時折出あう。ある日、阪神電鉄のCMソングを耳にしたとき、ささやかな衝撃を受けた。

それは「阪神電車できょうはどこまで行こうかな」「大阪梅田 福島 野田 淀川 姫島…」と駅名をひとつずつ歌詞に乗せて、ゆる~い感じで歌っていく。途中から早口言葉のようになっていくのが楽しくて、いつの間にか忘れられないCMソングになっていた。

「耳に残る歌声」は幅広く浸透しているようで、ネット上では「あの歌が気になる」「誰が歌っているの?」といった意見が飛び交っている。

ラジオ好きの記者も気になって仕方ない。CMソングについて詳しい情報を知りたくて、阪神電鉄の広報担当に問い合わせてみた。すると、モヤモヤしていたいくつかのナゾがするすると解けていった。

まず気になるのは「誰が歌っているのか?」。

答えは中上夕海さん。ネットで検索すると他の歌も聴ける。ふんわりとした歌声はなんとも魅力的だ。

作詞は森田一成さん、作曲は東竜太さん。CM制作の世界では広く知られた人という。

同社のCMソングは、全部で5パターンある。阪神本線の「大阪梅田から西宮まで」「西宮から西代まで」と、阪神なんば線の「大阪難波から西宮まで」、そして阪神武庫川線。さらに駅名は出てこないが「さあ阪神電車に乗って 阪神電車を降りて」と歌うノリノリ乗り降り編。駅名が次々登場する4パターンでは、阪神の全駅が網羅されている。もちろん歌っているのは、すべて中上さん。

これらの作品を放送で聴けるのはABCラジオでのみだが(ちなみにABCの本社は阪神福島駅に近い)、YouTubeでも聴くことができるのはありがたい。

同CMの放送が始まったのは2022年というから、もう何年も耳になじんでいることになる。そう、強烈に意識することはなくても、いつの間にか、自然にリスナーの生活に溶け込むのがラジオの魅力。それは番組であっても、CMも同じこと。

阪神沿線以外の人、あるいは関西に縁遠い人には、まるで興味のないことかもしれない。しかしラジオは地域密着メディアであり、好きな人にはどこまでも気になってしまうCM。この先も、ずっと聴いていたいものだ。【三宅敏】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミへキタへ~」)