連続テレビ小説「エール」(C)NHK
連続テレビ小説「エール」(C)NHK

【制作者の言葉】「俳優としてどのくらいの力量があるのか不安はありましたが、努力家で、素晴らしい演技をしていただいた」

14日に放送を再開するNHK連続テレビ小説「エール」で、主人公の弟子として物語に加わるお笑いトリオ、ハナコの岡部大について、土屋勝裕チーフ・プロデューサーが語った言葉です。

このほど行われた試写会を見ましたが、2カ月半ぶりに動きだす「エール」第14週は完全に岡部の週。生き生きとした純朴ぶりで、大いに笑わせ、泣かせてくれます。試写室のハートもがっちりつかんだようで、土屋氏への質疑では、岡部さんに関する質問でもちきりとなりました。

6月29日の放送回(第65話)でいったん休止となった「エール」ですが、その最後の場面となったのが、岡部さんの顔面のどアップでした。作曲家古山裕一(窪田正孝)の自宅にやってきて、「僕を弟子にしてくれねぇでしょうか!」。一波乱起きそうなインパクトに、SNS上も「ハナコ岡部のアップでいったん休止とは」「岡部! 爆笑」「岡部が気になって仕方ない」「早く岡部の続きが見たい」など大きな反響が寄せられました。

岡部が演じるのは、作曲家志望の青年、田ノ上五郎。貧しい生い立ちながら独学で作曲を勉強し、住み込みの弟子として、音(二階堂ふみ)、梅(森七菜)らとともに暮らし始める役どころです。

連続テレビ小説「エール」(C)NHK
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連続テレビ小説「エール」(C)NHK

トトロのようなまるまるとした着物姿に愛嬌(あいきょう)があり、持ち前のルックスも「昭和」や「居候」の設定によくはまります。働き者の岡部、もりもり食べる岡部、犬にほえられる岡部、恋する岡部、しょんぼりする岡部。バラエティー番組での、まじめで周囲に愛される人柄が、五郎のキャラクターそのままなんですよね。応援しているうちに、こちらも元気になる感じ。土屋氏は、「五郎は『純朴』という言葉が似合う青年で、悪いことをしなさそうな人。岡部さんはぴったりだと思いました」と起用理由を語っています。

とはいえ、主戦場はコントの人。「コントっぽくならないか、俳優としてどのくらいの力量があるのか不安なところもあった」と、会ったその場で即興のオーディションをしたそうです。リクエストしたのは、放送再開の火ぶたを切る「弟子にしてくれねぇでしょうか!」のせりふ。土屋氏は「涙をためながらアツい演技をされまして、いいなあと。演出スタッフとその場で決めました」。

スタジオでも五郎としてその場におり、「目をつぶってせりふを何回も何回も練習していて、とても努力家さんです」。TBSドラマ「私の家政夫ナギサさん」でも、主人公の同僚役で話題を集めたばかり。お笑い第7世代のマルチな才能を発揮しており、現場から「演技に不安はない」と信頼を得ています。

コロナ禍は続きますが、再開する「エール」が、岡部登場で明るくスタートするのは何より。翌15週からは「戦争の足音が忍び寄るシリアスな展開」(土屋氏)となるので、妙な馬力と感動がある岡部の週は貴重かも。とりあえず、14日からもう1回見ます。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)