【今週の数字】8・7%

14日に放送された日本テレビ系連続ドラマ「#リモラブ~普通の恋は邪道~」(水曜午後10時)第1話の視聴率です(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

数字的には微妙なスタートとなりましたが、テレビ主要枠で初めて「マスク着用」の日常でドラマを描いた意欲作。世の中と同じように、登場人物の誰もが普通にマスクをしており、画面上のインパクトは大。内容や評価はさておき、どこよりも早く1番旗をとって挑戦した作品のガッツを楽しく見ました。

企業の産業医を務めるヒロインが、おうち時間のSNSで知り合った“見知らぬ誰か”に恋をするラブコメディー。1話では、「マスク」「消毒」「検温」の社内風景や、リモート会議などの様子が描かれました。

主演の波瑠のほか、社員の松下洸平、間宮祥太朗、及川光博らも全員マスク。目だけの演技は俳優にとっても試練ですが、ペットボトルのお茶を飲んだり、屋上でお弁当を食べたり、自宅でリモート会議に参加したりというシーンをはさみながら、顔を映す機会を増やす工夫もみられます。世の中がマスク慣れしているせいか、出演者がマスクを外してカメラ目線でせりふを言ったりすると、ネット上で「いちいち外さないで」「あごマスクやめて」などの書き込みがどっと増える現象も興味深いです。

櫨山裕子プロデューサーは「コロナがある世界を真正面から描くドラマは地上波のプライム帯(午後7時~11時)では初めて。出演者がマスクをしているので、どう見えるのか手探りな部分はある」。これまで、林遣都が1人3役で三つ子を演じたフジテレビ「世界は3で出来ている」や、NHK「不要不急の銀河」など、コロナ禍の人間模様を描いた作品はいくつかありますが、基本的に家族の物語なのでマスクはほぼなし。やはり、出演者全員マスクの「リモラブ」の挑戦は大胆です。

櫨山氏は、テレビ各局が撮影休止に追い込まれた春ドラマの「ハケンの品格」を担当し、「全部1回止まった」という経験をしています。「はたして10月ができるのだろうかという思いがずっとあった。もしコロナが再燃しても、撮影を止めずにやれる形を考えた」。もともとあった“産業医のラブコメ”というテーマをコロナ社会仕様にし、脚本家水橋文美江氏と夏から練り直したという決断。「またリモートになっても、その時の社会状況に即して撮影と物語を続けられる仕組みができた」と話しています。

SNS上では「斬新」「今を描いていて身近に感じる」「見ているこっちも安心」という声がある一方、「ドラマでまでコロナを考えたくない」という意見もあり、賛否両論あるのはエンタメとしてベストな形。2話から舞台が10月の今になるとのことで、展開に期待したいと思います。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)