長澤まさみ(30)主演のフジテレビ系月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」(月曜午後9時)が9日スタートする。30分、拡大で放送される第1話を一足先に見た記者が、見どころを紹介する。【村上幸将】

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 第1話の試写会は、3月26日に都内のユナイテッド・シネマ アクアシティお台場で2番目に大きい321人収容のシアター3で行われた。坂道を転げ落ちるような早い展開の中、長澤、東出昌大(30)、小日向文世(64)が巨大カジノ、飛行機、高級ホテルなどさまざまな、そして大きな舞台をところ狭しと駆け回る。劇場の縦5・3メートル、横10・5メートルのスクリーンで上映しても違和感がなく、ドラマ以上のスケール感があった。他の記者も「家庭のテレビで見て迫力が伝わるだろうか?」などと口にした。

 その大きなスクリーンの中で、長澤が“七変化”する。カジノで丁半のツボ振リをやったかと思えば、民間航空会社のキャビンアテンダント…コンフィデンスマン(信用詐欺師)として、さまざまな職業の女性に扮(ふん)し、華やかな世界を舞台に壮大で奇想天外な計画で欲望にまみれた人間から大金をだましとる。

 ダー子は劇中で20人以上に扮(ふん)する上、ストーリーの中で、その役を辞めることもあるという。長澤は「ダー子なりに考えている。マギー・リンという中国人の女優役もやって、中国語を少ししゃべります」と笑みを浮かべた。ダー子は第1話で、ターゲットの経済ヤクザ・赤星栄介(江口洋介)を誘惑しようと考えるが、東出演じる詐欺師仲間のボクちゃんに「お前のハニートラップは、エロババアに襲われるようで怖い」と止められる。

 そのセリフとは裏腹に、着物姿で肩を出し、胸の谷間をかいま見せる長澤は実にセクシーで美しい。またキャビンアテンダント姿は実にかわいらしい。30代に入った長澤が、それまでに演じてきた数多くの作品での役どころ、磨いてきた演技を総動員している印象だ。コミカルさも含め、さまざまな長澤の顔を見ることが出来るのが「コンフィデンスマンJP」の大きな魅力の1つだろう。

 「コンフィデンスマンJP」は人気脚本家・古沢良太氏が約3年ぶりに描く連続ドラマだ。同氏が、詐欺師にだまし、だまされるストーリーのジャンル「コンゲーム」を題材にするのは初めてで、1987年(昭62)の「アナウンサーぷっつん物語」以降、続いてきたフジテレビ「月9」の歴史においても初の題材となる。コンゲームを題材とした著名な作品としては、73年の米映画「スティング」があるが、小日向は「日本の『スティング』だと思った。台本が素晴らしい。(演じる側も)グレードを上げていかないと申し訳ない。楽しみながら必死」と語った。

 ロケーションも大規模に展開している。第1話に鳥取砂丘として登場する砂丘の撮影は浜松市で撮影したが、その他にも全国各地で撮影しているといい、小日向は「浜松まで行ってるんですよ。すごいですよ、今回。僕らも千葉の君津とか日光江戸村とか…寒かった」と驚きを隠さない。

 17年12月4日にクランクインしながら、第1話は試写会直前まで撮影を行っていたといい、長澤と東出、小日向が初めて映像を見たのは試写会前日の3月25日だったという。長澤も「撮影を続けて映像見たのが昨日…。これ、面白いと思ってもらえるのかなと自信を失った瞬間があった」と不安も吐露した。

 一方で「嫌らしくなく、スカッと見られる作品になったと思う。古典的な物語の中に、付せんがたくさんある。なるほどという理屈がある。生き生きしたせりふが多い。『だしょ、だしょ』みたいに、面白くて言ってしまうセリフが(他の作品では)台本にはない。古沢さん独特の世界観が面白い」と手応えも語った。

 07年「プロポーズ大作戦」以来11年ぶりの月9ドラマ主演、12年の同系「高校入試」以来5年半ぶりの連続ドラマ主演になる長澤の全開の魅力、脇を固める共演陣の演技力、古沢氏の脚本の面白さ、そしてスケール感…まずは、第1話を見て欲しい。