タカラジェンヌを育成する宝塚音楽学校106期生の卒業式が2日午前、兵庫県宝塚市の同校で行われた。新型コロナウイルスの感染拡大で、学校行事の自粛も広がる中、恒例の予科生、本科生による「ブーケ渡し」を中止し、保護者の出席を「2人まで」に制限するなどの対策を施して式典を終えた。

宝塚歌劇団の創始者、小林一三氏のひ孫にあたる小林公一校長は「令和最初の卒業生。大正、昭和、平成と受け継がれてきた宝塚の伝統を今の時代に引き継いでいただきたい」と式辞。

角和夫理事長は、感染拡大で休演中の宝塚歌劇にふれつつ、劇団OGの元雪組トップ早霧せいなの著作物を紹介。「上位成績ではなくても、努力されて見事なトップになり卒業された」と、卒業生にエールを送り、飛躍を期待した。

39人は一昨年春に入学し、予科、本科と2年にわたり、レッスンを重ねてきた。同校では、今年の卒業式について「中止ももちろん選択肢にあった」としながらも、協議を重ね「(午後からの宝塚歌劇団への)入団式はあるので、106期生だけ(卒業)式がないのはしのびない」として、開催を実現させた。

例年より来賓の数を「大幅に」減らし、生徒の保護者も「1人につき2人まで」として出席者を絞り、マスク着用、アルコール消毒などを求めた。生徒席、保護者席、来賓席の間隔も大きめにスペースをとった。

ブーケ渡しについても、予科生と本科生が触れ合う最後の場だが、同校は「クライマックスではあるんですが、接触感染のおそれもある」と配慮して自粛。報道陣にもマスクの着用はもちろん、テレビカメラなどスタッフの少人数化を求め、機材も「小型カメラで」などと協力を求めた。

式典後は、首席の平野花奈(ひらの・かな)さん(東京都世田谷区)ら成績上位4人が取材に応じた。

身長171センチで男役志望の平野さんは、首席卒業者で、雪組スター彩風咲奈があこがれ。開催へ不安もあった卒業式について「無事に式を終えることができて、感謝しています。うれしい気持ちでいっぱいです」と、安堵(あんど)。「例年行われているセレモニーが中止になったのは残念ですが、早くコロナウイルス(の感染拡大)が収束してくれることを祈っています」と話した。

今年の上位4人のうち、2番目の堀部真未(ほりべ・まなみ)さん(兵庫県伊丹市)だけが娘役志望。元宙組トップ娘役野々すみ花をあげ「かわいらしくて、華やかな娘役さんになりたい」。圓福寺萌花(えんぷくじ・もえか)さん(さいたま市)は、首席卒業の星組新トップ礼真琴にあこがれ「歌、踊り、芝居のすべてに輝けるように」と誓った。

元星組トップ柚希礼音の名をあげた柴崎のあん(神奈川県鎌倉市)は「柚希さんのように男役の道をすべてにおいて追求したい」と目を輝かせていた。

106期生39人は、この日午後から、劇団で入団式に臨む。4月24日に宝塚大劇場で開幕する月組公演「WELCOME TO TAKARAZUKA-雪と月と花と-」「ピガール狂想曲~シェイクスピア原作『十二夜』より~」で初舞台を踏む。