俳優田中圭(36)が19日、都内で主演映画「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」(飯塚健監督)の公開記念舞台あいさつに出席し、舞台上で号泣した。他の登壇者もそれぞれ涙を流す珍しい事態となった。

98年長野五輪で、スキージャンプ団体金メダルをもたらした日本代表を陰で支えた25人のテストジャンパーたちの物語。

イベントでは、登場人物のモデルとなったテストジャンパーたちから感謝のビデオメッセージが寄せられた。出演者には知らされておらず、山田裕貴(30)は「これはだめでしょう」と涙が止まらない様子。「まず、この(テストジャンパーの)皆さんの思いが届けられたかどうかが一番。ありがとうという言葉はすごくうれしかったです」と目元を拭った。真栄田郷敦(21)も、声を詰まらせながら「この作品に携われてよかった」。田中も、現実の出来事を物語にする責任感に触れつつ「ご本人たちにおもしろおかしくされたと思われてしまうことが嫌だった。ありがとうと言ってくださるのはうれしいし、やれてよかった」と語った。

映画は2度の延期を経て、2年越しの公開となった。苦労を乗り越えた座長への感謝として、出演者、スタッフらのメッセージが書かれたスペシャルフラッグが田中に贈られた。土屋太鳳(26)から「丸1年延期ですけど、それも意味があるのかな」と手渡されると、これまで明るく舞台を盛り上げてきた田中もたまらなくなったようで、「ありがとうございます」と絞り出した。

普段田中の涙を見ることがなかったという山田は「圭さんが泣いているところを見たことがなくて。明るく乗り切るだけじゃなく、弱みも見せて欲しいと思っていた。人間らしい姿が見られてよかったです」と、さらにもらい泣き。「何で俺がこんなに泣いてるんだろう。カオスですよね」と泣き笑いした。

しばらく涙を抑えることが出来ず、感激でメッセージを直視できない田中は「ちょっと1回(旗を)閉じちゃおうかな」と号泣。「僕がみんなを頼りにしていた。座長のプレッシャーもあったし、思うこともいっぱいあった。みんなからお疲れさまと言ってもらえるサプライズがあると思わなかったので、うれしいです」と感謝した。

この直前には、土屋が田中の人柄を評して涙する場面もあり、出演者の大半が壇上で泣く珍事となった。田中は「かつてこんなに登壇する人が違うタイミングで泣く舞台あいさつがあったでしょうか」と笑いも交えつつ、「この作品をきっかけに出来たご縁は、切らさなければずっと続いていく。こういう時代だからこそ、目に見えないけど確かにあるものをつないでいきたいし、そういう作品を作り続けていきたい」と感慨深げに話した。

最後は「すごいサプライズをありがとうございました!」と改めて感謝。フラッグを広げて肩にかけ、笑顔で降壇した。

日向坂46小坂菜緒(18)飯塚監督も登壇。