フリーアナウンサー古舘伊知郎(66)が、16日に単行本「MC論」(ワニブックス)を出版する。テレビの司会として1960年代から活躍した故大橋巨泉氏をはじめ、タモリ、たけし、さんまのビッグ3、とんねるず、ダウンタウン、中居正広、みのもんた、関口宏、小倉智昭、黒柳徹子、安住紳一郎、羽鳥慎一、村上信五などを取り上げ、その手法、影響力などを分析した“交友録”でもある。

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「MC表参道ブランド論」っていうのは、司会というのは、目印っていうか看板として座っててくれれば、安心するわけじゃないですか。周りの人たちがはやし立てたり、しゃべったり、いろんなことすればいい。タモリさん(75)のNHK「ブラタモリ」(土曜午後7時30分)が素晴らしいのは、やっぱり俺みたいに出ないで、しゃべらないってことですよ。テレビの中の目印なんですよ。

ネットテレビなんか出てきてYouTubeも出てきた。YouTubeでMCって言いますけど、これは1人でしゃべってることですよね。これは「MC表参道ブランド論」と違って、実質的に働いてるから。座ってるだけじゃないから、生身の人間として登場する。ブランド論と、またちょっと違うんでしょうけど。もうだから、面白いなと思って。そういうイメージをこの本の中に込めて書いたんです。

だから苦しかったんです。見ても分かるように昭和、平成前半ぐらいまでは、あってようが間違ってようが、あーだ、こーだ書けるんですよ、いくらでも。よく知ってるから、間違った見方でも、いや私の見方ですって言えるから。で、結構、後半失速するんですよ。だって僕より何十歳も若い今売れてる人を、報道のせいにするのも相当小ずるいですけど。あ、日本語になってませんね。相当なら“小”じゃないですね。相当ずるいんですけど。報道(テレビ朝日「報道ステーション」)の12年も含めて、知らないんですよ。今のバラエティーの、すごいお笑いの第7世代の人たちでMC張ったりしている、今どきのMC。

それは、さっきの表参道論と違うわけで。でも、出版社としては入んなきゃ、どういう人が手にとってくれるのかっている層があるじゃないですか。だから無理やり若い人入れてますよ。意外に字数、少ないですよ。産みの苦しみなんてもんじゃないですよ、無理やりですよ。さも知った風に書いてますよ。結構、それは分かんないじゃないですか、今どきのは。

司会と進行の分業制に至るまでのねあり様がね、なんか町の商店街の変貌ぶり、流転ぶりと似ている。やっぱりテレビの中の司会者論なりMC論は、同じような歩調なんだなぁと思って、変わり模様はね。あの僕なんかのちっちゃい頃の東京の下町育ちで言うと、昭和の子が物心ついた頃からビニール素材だったり本物の竹だったり、母さん方はみんな買い物かごというものを持ってた時代がある。

買い物かごっていう物体があったんです。プラスチックだから、石油製品の出始めですから昭和の30年代。だからまさに、1964年、東京オリンピック、首都高速開通、夢の超特急ひかりがお目見えしましたって。あの時代は全部お母さん方は、専業主婦って働いてる女性もいましたが、ビニールか自然素材かどっちかなんすけど、ガチっと買い物かごを持って商店街を練り歩いていた。

八百屋さん行って野菜を買い、肉屋さん行って肉を買い、魚屋さん行って魚を買い、コンニャク屋さん行ってコンニャクを買いっていう話。花屋さん、で、シャッポ屋さんて言って、シャッポ屋さん行って帽子買うっていう。下手したら帽子までかごに入れて。で、家に持って帰る。そういう何往復もする時代って言うんですかね。それぞれの所に行かなきゃいけなくて、品切れがあったりとかね。なんかね、そういう時代があったじゃないですか。

(続く)

◆古舘伊知郎(ふるたち・いちろう)1954年(昭29)12月7日、東京都生まれ。立大卒業後の77年にテレビ朝日入社。同8月からプロレス中継を担当。84年6月退社、フリーとなり「古舘プロジェクト」設立。85~90年フジテレビ系「夜のヒットスタジオDELUXE、SUPER」司会。09~94年フジテレビ系「F1グランプリ実況中継」。94~96年NHK「紅白歌合戦」司会。94~05年日本テレビ系「おしゃれカンケイ」司会。04~16年「報道ステーション」キャスター。現在、NHK「日本人のおなまえ」(木曜午後7時57分)司会など。YouTube「古舘Ch」。14日の徳用・渋谷区文化総合センター大和田古さくらホールから初の全国ツアー「古舘伊知郎トーキングブルース2021」がスタート。血液型AB。