フリーアナウンサー古舘伊知郎(66)が、16日に単行本「MC論」(ワニブックス)を出版した。テレビの司会として1960年代から活躍した故大橋巨泉氏をはじめ、タモリ、たけし、さんまのビッグ3、とんねるず、ダウンタウン、中居正広、みのもんた、関口宏、小倉智昭、黒柳徹子、安住紳一郎、羽鳥慎一、村上信五などを取り上げ、その手法、影響力などを分析した“交友録”でもある。古舘にコロナ禍における東京五輪、パラリンピック開催について聞いてみた。
◇ ◇ ◇
先月23日から今月8日まで、東京五輪が開催されました。24日からはパラリンピックが始まります。五輪が開催される前は、開催に賛成か反対が物議を醸しました。僕自身も、いろいろなところで意見を求められました。
正直に言いますとね、2人の自分がいてですね。人間なんて単体だけど、心境は複数いるじゃないですか。ふたつあって、ひとつはオリンピックやパラリンピックを見たい。パラリンピックはNHK Eテレ「ハートネットTV」の古舘劇場で、いろいろな競技紹介や選手の実況をやったりね。パラリンピックのパラリンピアンについて生い立ちからね、こうやって生きてきた選手が東京大会に来るぞっていうのもお手伝いしてきたんですよ。欲もあるし、自分のスタンスもある。競技を見たいし、しゃべりたいまである。
もう一方で、それとは別な自分がいる。今から3カ月くらい前くらいまでは、去年延期したんだから、2年延期も実現不可能ではないんじゃないかと思っていた。でも、2年延期だと世界陸上とか、世界水泳とかいろいろな世界がつく大会とぶつかっちゃう。スポーツ界も“世界”がくっつけばブランドになって、大きなビジネスシーンが展開される。それが2年延期だとバッティングするから、実権を握っているIOCがダメだという。でも、そんなことよりも延期すべきだと、本当に思ってました。
で、中止か延期かと思っていたら、大会がだんだん近づくにつれて、IOCとの契約内容がつまびらかになってくる。僕みたいな五輪に関する素人でも分かるわけですね、IOCのワンサイドだっていうことが。テロや紛争、戦争、とんでもない天変地異が起きて、その国やその開催都市が開催不能でオリンピックが安全に行えないという時に、IOCだけが中止を決断する権利を持っている。だけど開催都市及び開催される国の大会組織委員会には、一切決断する権利がない契約だっていうのが分かったから。もう、これはやるしかないという風に思って、やるんだったら無観客だなって思ったんだ。
だから中途半端だけど、僕は五輪開催については中止しなよって言ってた派ではなかった。ワクチンの半信半疑と同じです。真ん中に入って、本当はやめたほうがいいと思ったけど、もうやらざるを得ないっていう感じでした。
五輪はヨーロッパ貴族のもの。(IOC会長の)バッハさんが、やりたがる意味も分かるしね。無観客を嫌がるのも意味も分かる。僕はオリンピック、パラリンピックを開催するなら、それで都合よく楽しもう派。テレビで楽しもう、その代わりパブリックビューイングはなしという考えでした。(続く)
◆古舘伊知郎(ふるたち・いちろう)1954年(昭29)12月7日、東京都生まれ。立大卒業後の77年にテレビ朝日入社。同8月からプロレス中継を担当。84年6月退社、フリーとなり「古舘プロジェクト」設立。85~90年フジテレビ系「夜のヒットスタジオDELUXE、SUPER」司会。09~94年フジテレビ系「F1グランプリ実況中継」。94~96年NHK「紅白歌合戦」司会。94~05年日本テレビ系「おしゃれカンケイ」司会。04~16年「報道ステーション」キャスター。現在、NHK「日本人のおなまえ」(木曜午後7時57分)司会など。YouTube「古舘Ch」。14日の徳用・渋谷区文化総合センター大和田古さくらホールから初の全国ツアー「古舘伊知郎トーキングブルース2021」がスタート。血液型AB。



