米俳優アレック・ボールドウィン(63)が先月21日に米ニューメキシコ州で撮影中だった米映画「Rust」のセットで小道具の銃を誤射し、撮影監督が死亡した事故で、武器担当の責任者だったハンナ・リードさんの弁護士が3日、出演したテレビ番組で「誰かが意図的に撮影を妨害するため実弾を混入させた」と語って物議を醸している。助監督が弾薬が入っていないことを意味する「コールドガン」だと告げてボールドウィンに手渡した銃には実弾が装填(そうてん)されていたことが分かっているが、どのような経緯で実弾がセットに持ち込まれたのかは明らかになっていない。

助監督は手渡す前に銃の中身を確認しなかったと話しているが、銃を準備するのは武器担当の仕事であることからリードさんの責任を問う声が高まっており、弁護士の発言は火に油を注ぐ形となった。

NBCテレビの朝の情報番組トゥデイに出演した弁護士は、リードさんは「ダミー」のラベルが貼られた箱から取り出したダミーの弾を銃に詰めたが、「なぜかその箱の中に実弾が混ざっていた」と話し、リードさんは実弾がどこから来たのかは知らず、実弾の使用にも関与していないと主張。「実弾を入れた人は、現場にダメージを与えることが狙いだったとしか考えられない。現に事故当日に仕事を辞めたカメラクルーがいた」と語り、案に労働環境や給与などに不満を抱いて現場を去ったスタッフが故意に実弾を箱に混入させた可能性を示唆した。「実弾とダミーは似ている」とも語っているが、SNSには「ありえない」「ばかげた仮説」など批判が殺到している。新人のリードさんは過去の作品でも銃の取り扱いに問題があったことが伝えられており、今作の現場でも安全管理を怠っていたことが内部告発されている。

本作の製作費は700万ドルと低予算だったことが伝えられているが、それが原因で労働環境や現場の安全対策に問題があったと一部スタッフから不満が出ていたことが分かっている。映画の撮影で実弾を使用することはありえないため、どのような経緯で実弾が装填されたのか警察の捜査が続いている。一部メディアは、事故の直前にスタッフが実弾入りの銃を使って射撃訓練をしていたと伝えており、銃の管理責任者であるリードさんが刑事訴追される可能性も出ている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)