新型コロナウイルス感染拡大の影響で長期にわたって閉鎖を余技なくされてきた米ニューヨークの劇場街ブロードウェーが、コロナの再拡大で今年9月の再開からわずか数カ月で再び閉鎖の危機に直面している。1年半ぶりに再開を果たしたばかりのブロードウェーミュージカルで、今週に入って出演者やスタッフらの間で感染が拡大し、休演が相次いでいると米CNNなどが報じた。

「愛の魔法」「プラウド・メアリー」などのヒット曲で知られる米歌手ティナ・ターナーの半生を描いたミュージカル「ティナ」の公演が15日に休演となったのをはじめ、映画化もされた英人気小説「ハリー・ポッター」シリーズ初の舞台化となる「ハリー・ポッターと呪いの子」も15日の昼の公演が中止となり、大ヒットミュージカル「ハミルトン」でも開演のわずか1時間前に急きょ中止が決まるなど、コロナ再拡大で混乱が生じている。

今週に入ってすでに、名作「オズの魔法使い」に隠されたもう一つの物語を描いた「ウィキッド」や俳優ロビン・ウィリアムズ主演の映画「ミセス・ダウト」を舞台化した同名のミュージカル、音楽グループ「フリースタイル・ラブ・スプリーム」の公演なども中止となっているという。

2020年3月に感染拡大によって閉鎖されたブロードウェー劇場街は、再開にあたって12歳以上の入場者にはワクチン接種を義務化し、12歳未満と医学的理由でワクチンを接種できない人には72時間以内のPCR検査での陰性証明書の提示を義務付けている。また、マスク着用や出演者とスタッフのワクチン接種も義務化してているが、この3カ月ほどでたびたび出演者や関係者に陽性反応が出たとして数公演が休演となってきた。

ブロードウェーのみならず、米プロフィットボールリーグ(NFL)ではこの2日間で過去最多となる75人の選手の陽性が確認され、米プロバスケットボールリーグ(NBA)でも30人に陽性反応が出て試合が中止となるなど、スポーツ界にも再拡大の波が押し寄せている。今月に入って急速に拡大している新たな変異種オミクロン株への懸念も高まっており、3度目のワクチン接種を義務化する動きも出始めている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)