今年10月に映画「Rust」の撮影現場でおきた銃の誤射で撮影監督が亡くなった事故を受け、捜査を担当する地元サンタフェ保安官事務所が米俳優アレック・ボールドウィン(63)の携帯電話を押収したと報じられた。

ボールドウィンは安全を意味する「コールドガン」だと告げられた銃を誤射し、撮影監督のハリーナ・ハッチンさんが死亡し、ジョエル・ソーサ監督が負傷する事故が起きた。その後の捜査で銃には実弾が装塡(そうてん)されていたことが分かっているが、ボールドウィンは先日行われた事件後初となる米ABCテレビのインタビューで、「私は引き金を引いていない。実弾入りだとは知らなかった」と話し、自らの責任を否定していた。

しかし、捜査当局はボールドウィンと事故の関連性を捜査するため、携帯電話を押収するための令状を取得したという。通話記録や携帯メール、SNSの投稿、保存されている写真や動画などを捜査することが目的だと伝えられており、製作に関連する情報やデータなどを探すためだと捜査当局は説明している。

ボールドウィンは事故後、捜査に全面協力しており、弁護士は事故とは関係のない個人のプライバシーを守ることを条件に携帯電話の提出に応じることを了承したという。「民事、並びに刑事上の責任がないことを示す証拠を見つけられると確信している」と弁護士はコメントしている。

事故から21日で2カ月となるが、現在も捜査は続いており、銃を手渡した助監督や銃の管理責任者の武器担当者を含め、逮捕者は出ていない。一方、ボールドウィンら関係者を相手取った複数の民事訴訟が起こされている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)