東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ紙7紙の映画担当記者で構成)主催の第64回(21年度)ブルーリボン賞が23日までに決定した。三浦透子(25)が、米アカデミー賞で邦画初の作品賞と脚色賞(共同脚本の大江崇允氏も)、監督賞、国際長編映画賞にノミネートされた、濱口竜介監督(43)の「ドライブ・マイ・カー」で助演女優賞を受賞した。

同作からはブルーリボン賞唯一の受賞となったが「賞をいただくのが初めて。そんな中、芸術に疎い家族の反応が『ブルーリボン、聞いたことがあるよ。すごい!』って、めちゃめちゃ分かりやすい。聞いたことがあるということ。それだけの歴史がある賞だと家族の反応で改めて実感する。ありがたい」と喜んだ。

劇中では、西島秀俊(50)演じる舞台俳優で演出家の家福(かふく)悠介の寡黙な専属ドライバー渡利みさきを演じた。オファーを受けた当時は免許を取得しておらず、濱口監督に「大丈夫ですか」と聞くと「運転が、うまそうな顔をしているから大丈夫」と独特の言い回しで背中を押されたという。

濱口監督の見立ては大当たりで、免許は教習所に通って17日間で取ったという。「しかもマニュアルです。クラッチもガクンとせずに…めちゃ優秀でした!」と胸を張った。ただ、劇中に登場した赤のサーブがマニュアルであることを想定していたものの、実際はオートマチック車だったという。せりふを言うシーンは、車にけん引されて演じているが「意外と、自分が映っていないところで私が運転しているというのはあります」と胸を張った。

演じた、みさきという役に運命を感じていた。「撮影が決まった当時、みさきと同じ年齢で、北海道生まれであるという設定とか、私の元にこの役が来たと自然に思えた」。何より、台本を読み「自分が今まで考えてきたこと、人として大事にしたいことが共有できたのかな? お芝居うんぬんより、パーソナルで近しい部分を感じたから、そう思ってもらえたんじゃないかな? 全部、つながっていると思う」と感じるほど、ほれ込んだ。運転練習中も「視野の広さ、気遣いが出来る…根っこの人間性に、運転がうまそうというのが含まれているのかも知れない」と発見があったという。

米アカデミー賞に4部門ノミネートされて以降、全国の映画館で満席が続くなど「ドライブ・マイ・カー」の一大ムーブメントは、とどまるところを知らない。ただ、濱口監督が2月2日に都内で行われた第95回キネマ旬報ベスト・テン発表&表彰式で、三浦の助演女優賞を含む5冠を受賞した壇上で「賞で作品が変わるわけではない。自分たちが何が出来て、何が出来なかったと心に留めているのが大事」と強調したことが、全てだと、三浦も考えている。「濱口さんが、おっしゃっていることが根底にあると思う。私たちは本当に、すごく良い作品を作ることが出来た時に、1つ完結した喜びがあって、もう今、十分、評価してもらっていると思う」と冷静だ。

受賞を受けて、どこに向かって歩んでいくかと聞かれても「目の前にあることを頑張ってやろうっていう、その積み重ねで、ここまで来てる感じがして」と冷静に自身を見詰める。「目の前のことだけ考えてきたから、自分の思いもよらないところに来ている実感があります。これからも、その方が面白い…かな」と言い、ほほ笑んだ。【村上幸将】

◆三浦透子(みうら・とうこ)1996年(平8)10月20日、北海道生まれ。02年にサントリーのCM「なっちゃん」の2代目なっちゃんとしてデビュー。主な出演映画は「私たちのハァハァ」(15年)、「月子」(17年)、「素敵なダイナマイトスキャンダル」(18年)、「ロマンスドール」(20年)、「おらおらでひとりいぐも」(同)など多数。NHKで放送中の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」にも出演。また、新海誠監督の19年「天気の子」では、主題歌のボーカリストとして参加し、昨年には、初のオリジナル作品「ASTERISK」を発売するなど歌手としても注目されている。

◆ブルーリボン賞 1950年(昭25)創設。「青空のもとで取材した記者が選出する賞」が名前の由来。当初は一般紙が主催も61年に脱退し67~74年の中断を経て、東京映画記者会主催で75年に再開。ペンが記者の象徴であることから副賞は万年筆。主演男、女優賞受賞者が、翌年の授賞式で司会を務めるのが恒例。