デビュー45年を迎えた歌手松山千春(66)が主催する、シンガー・ソングライター発掘オーディションが8日、札幌のSTVホールで行われ、最優秀賞に小川哲央さん(23=東京)優秀賞に福岡在住の柴牟田更沙(しむた・つかさ)さん(25=福岡)が選ばれた。

当初は「第2の松山千春」とアピールしていたが、最終審査に残った出場者10組のうち、3分の1が女性というオーディションとなった。千春は「出場者全員、素晴らしい才能を持っている」と評価。小川さんと柴牟田さんは千春の事務所「オフィス・ゲンキ」に所属し、メジャー・デビューを目指す。

アーティスト自らが主催者となって、オーディションを開催するのは珍しい。「10年後、20年後でも通用できる実力派のシンガーを発掘したい」という千春の願いから企画された。4月1日から募集を開始し、全国から140組を超える応募があったという。ただ、募集条件は18歳から29歳だったが、30~40代からの応募も多かったという。

千春は75年「全国フォーク音楽祭」に出場したことがキッカケとなりデビューした。音楽祭では北海道大会で落選も、審査員を務めていたSTVラジオのディレクター、竹田健二氏との出会いもあり、2年後の77年にレコードデビュー。そして、8月8日は「北海道厚生年金会館(札幌)で初めて有料のコンサートを行った記念の日」だと千春は強調した。

千春は「自分のやってきた活動には悔いはないが、ただ1つ、次代を担う新しいシンガー・ソングライターを、自分が関わって育てたいと思った」。その一方「時代も変わり、自分が年をとったせいもあるかもしれないが、最近の曲は、いくら聴いてもなかなかいいなあと感じられるような、心に刺さるような楽曲がないなって感じていた」。今回はシンガソングライターとして、いわば千春の“後継者”を発掘したい意向だった。

最終審査で10組の歌を聞いた千春は「出場者全員が原石だった。これからも曲作りを続けていってほしい」と言うが、10組の中で2組が姉妹ユニットと男女ユニット。さらに女性ソロが5人だったことに「驚いた。正直言って男性はもっと頑張ってほしかったな」と思わず本音も漏れた。

最優秀賞の小川さんは多摩美大を卒業後、現在は劇団民話芸術座に勤務中。宮沢賢治の大ファンでオリジナル曲は「50~60曲持っている」と言う。柴牟田さんは、派遣会社に勤めながらシンガー・ソングライターを目指してきた。

今後はデビューを目指してバックアップしていくが、千春は「老若男女に愛されるシンガー・ソングライターを目指して、一緒に切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と意気込んだ。