俳優草なぎ剛(48)主演のフジテレビ系カンテレ制作の連続ドラマ「罠の戦争」(月曜午後10時)の最終回第11話が今日27日夜、放送される。同ドラマを手がけた関西テレビの河西秀幸プロデューサー(43)がこのほど、日刊スポーツの取材に応じた。4回に分けてお届けする。最終回はドラマを支えてきた女優たちの演技について語った。【高橋洋平】

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ドラマ中盤は片平なぎさ(63)が演じた鴨井ゆう子大臣の生きざまにもスポットライトが当たった。日本初の女性総理大臣の座を貪欲に狙う姿と母親の両面を併せ持っていた。

「鴨井大臣は、息子が突き落とした犯人ですよと、最初から役の設定は決まっていました。最初の設定のキャラクター表とか、こういうふうになりますっていうのはあらかじめ提案していました。渡していたからこそ、その息子がっていうときに母親の顔が出てくる。それと対比させるために、最初から『日本初の女性総理大臣』を目指しているという芯の強い女性でいったほうが、心の落差がすごい。やっぱりそこは、より強い感じでいきましょうっていう話は最初しましたね」

母親の一面を見せつつも、片平は鴨井大臣を芯のある強い女性として演じきった。

「実際にご本人もやっぱりそこを意識してて、歩き方とかも普段あんなに大胆な歩き方じゃなくて。ちょっとこう女性らしい歩き方なんですけど。歩き方一つとっても、なぎささんがお芝居ですごい力強さを表現してるんじゃないかなっていうぐらい」

衣装から歩き方、声のトーンまで操っていた。

「衣装もいろんな政治家のイメージを参考にして。取り入れてない色はないんじゃないかっていうぐらい、全色のいろんな衣装を用意して。それはやっぱり自分を誇示するっていう、男社会の中で力強く生きていくんだっていう自己顕示の現れだと思うんですけど。そういう見た目から、歩き方から。声のトーンも、普段のなぎささんってものすごい声が高くて、チャーミングな方なんですけど。ちょっとドス利いてません? っていうぐらいの。なんか全て見た目、声質とかいろんなものを含めてやっぱり意識されてるなっていうのは感じましたね」

「罠の戦争」には、戦争シリーズ前2作と異なる点があるという。

「鷲津亨が中心にいるドラマなので。どう支えていこうかっていうときに、(戦争シリーズ)前2作と違うのは、前2作はやっぱり、ラブの要素を入れてるんですよね。愛憎の要素というか。今回は愛憎の要素じゃなくて、家族っていう要素を色濃くしているのがちょっと1つ違う特徴なのかなと」

鴨井大臣に限らず、鷲津の妻、可南子(井川遥)と鷲津を秘書として支える蛍原梨恵(小野花梨)の2人も、芯のある女性として描かれている。

「やっぱり梨恵(小野花梨)は献身的に支えるんですよ。ちょっと亨のことをどこかで思っているという役にはしてるんですけど。井川さんに関して、妻っていう役は前2作とは違う、一番大きなところかなって思っていて」

可南子はひたすら鷲津をサポートしていく。ドラマ終盤、権力に溺れていく鷲津に気付きながらも、献身的な姿を貫いていく。

「やっぱり井川さんも強く見えるんですけど、実はものすごい弱い人で。心に傷を負っていて。10話で明かしたんですけど、昔友人が自殺してしまって、その友人を救えなかったっていうのがあったからこそ、今NPOで弱い人のために力になったりとか。あと、自分が弱い立場になったからこそ、なんか改めてその人のために動きたいと思ったっていう。そういう弱さもあるんだけど、今回息子の事件を通じて、踏みつけられるのも嫌だし、踏みつけられるのを見るのも嫌だっていう。今回息子の事件を通して、より可南子は強くなっていったんじゃないかなっていう。事件を通じて」

「罠の戦争」は6年前の構想段階からエンディングが決まっていた。

「亨と可南子の最後は、最初に決まってました。やっぱり前2作と違う、これはある種の家族の話で、家族のために動いていた亨なんで。一番のスタートは。じゃあ最後は家族のためにどうやってドラマを終わらせるのか。最終話はこの可南子がキーパーソンです。これだけ落ちていった亨と可南子の関係はどうなっちゃうの? っていうのが1つの見どころです」(おわり)

◆河西秀幸(かさい・ひでゆき)1980年(昭55)1月8日、東京都生まれ。02年に関西テレビに入社。プロデューサーとして初めて手がけたドラマは上地雄輔主演の「逃亡弁護士」(10年)。以降、「銭の戦争」(15年)「嘘の戦争」(17年)「パーフェクトワールド」(19年)「ドクターホワイト」(22年)なども担当。

◆「罠の戦争」 草なぎにとっては6年ぶりの連続ドラマ主演作で、ジャニーズ事務所退所後、初の民放連続ドラマ主演となる。「銭の戦争」「嘘の戦争」に続く戦争シリーズ第3弾は、弱者による強き権力者への報復劇。今作は愛する家族を傷つけられた鷲津亨(わしづ・とおる)が主人公。議員秘書から代議士となり、知略を尽くして鮮やかな“罠”を仕掛け、あしき政治家を失脚させる痛快なリベンジエンターテインメント。命を懸けて20年間尽くしてきた政治家に裏切られた男が、権力を振りかざす不条理な政治家たちに壮絶な報復を行う。

【図解】フジテレビ系「罠の戦争」相関図、キャスト