落語家桂春蝶(51)が14日、大阪市内で独演会「落語で伝えたい想い」の第12作「それゆけ、タイガース!」(6月13~14、20~21、扇町ミュージアムキューブ CUBE01)の取材会に出席した。

春蝶は2013年から、「命の落語」をテーマに、その時々で伝えたいと思っていることを創作落語に込めた「落語で-」を続けており、ライフワークとなっている。父である先代の桂春蝶が亡くなったのが51歳。自身も同じ年になり、「これまでは『こっちやで』と少し前を歩いてくれてたのが、『後ろで見てるから、まだ生きたことのない時代を生きてくれ』と変わっていく」と感じたという。

父とは何かと振り返ったところ「落語以上に阪神タイガース」だった。

「父が甲子園に見に行くと負ける」といった都市伝説や、甲子園に連れて行ってもらった際には「試合前に応援団から『春蝶、帰れ』コールを送られて、国民から嫌われているのかしらと思った」。青色にあこがれ、「中日ファンになりたい」と言ったときは「金庫から100万円出してきて、『これで出て行ってください』と言われて、深く傷つけてしまったと思った」、85年の阪神の優勝の際は「ウイスキーオンザロックでさめざめ泣きながら飲んでいた。哀愁が漂っていた」などと思い出話は尽きない。

そんな父を思い、「51歳。2代目に捧ぐみたいな一席をタイガースをテーマに作れないか」と、大阪の街の軍需工場を舞台にした戦前から阪神が優勝した85年までの親子3代のストーリーを描く。

阪神について「人生ってほとんど負け。タイガースって自分の人生が10対0で負けたって日でも11対0で負けてくれる球団。寄り添ってくれる。ぼやかせてくれる球団。だから、愛している」とニヤリ。

続けて「オヤジに『何でこんな弱い球団応援してるんや?』って聞いたときに、しみじみ僕を見ながら『アホな息子を応援するのと一緒。なんばアホでも縁切れるか? アホなほどかわいい』と言っていた。そういう意味では最近、強いからぼやかしてくれない。ちょっと寂しかったりする」と、近年すっかり強くなった阪神に複雑な思いを示しながらも、作品は「明るい話には最後にはしたいんだけど、負けてるときに寄り添える作品でありたい。常勝軍団じゃない。常敗軍団の話」と説明した。

ファンからは「阪神ファンじゃないとアカンでしょ?」と聞かれるそうで、思っていたほどチケットが売れていないと苦笑しながら、「人間ドラマ。阪神ファンじゃなくても楽しめる」とアピールしていた。