フランケルやバーイードなど超一流馬がシーズンの幕開けとした英国のG1ロッキンジS(芝直線1600メートル、ニューベリー)が5月18日(土)、10頭によって争われました。

人気は昨年、英国でG1サンチャリオットS、フランスでG1ジャックルマロワ賞、米国でG1BCフィリー&メアターフを制してエクリプス賞最優秀芝牝馬に選出されたインスパイラル(牝5、父フランケル、J&T・ゴスデン厩舎)が集めて単勝は3・0倍。3・75倍の2番人気はG1クイーンエリザベス2世S(芝1600メートル、アスコット)を6馬身差で制したビッグロック(牡4、父ロックオブジブラルタル、M・ガルニエーリ厩舎)、前走のG2ベット365マイル(芝1600メートル、アスコット)優勝からここへ臨んだチャーリン(牡4、父ダークエンジェル、L・ヴァリアン厩舎)が5・0倍の3番人気となりました。

レースはインスパイラルのペースメーカー役で出走したオーディエンス(セン5、父イフラージ、J&T・ゴスデン厩舎)が馬場の中央を通って9頭を先導。道中で追いかける馬たちを振りほどいて1人旅となったオーディエンスが、最後まで食らいつくチャーリンに1馬身4分の3差をつけてゴールに飛び込みました。人気を集めたインスパイラルは先頭から12馬身4分の3差の4着、ビッグロックは離れた6着に敗れました。

ジャイアントキリングとなったオーディエンスはインスパイラルと同じ英国のチェヴァリーパークスタッドの生産所有馬。ここまでの通算成績は13戦4勝で、重賞は昨年7月のG3クライテリオンステークス(芝1400メートル、ニューマーケット)に続き2勝目です。

2歳10月にデビューしたオーディエンスは、その気性の激しさから3歳の夏に去勢手術を受けて、同年10月のタタソールズ・オータムセールで売却される予定になっていましたが、当日欠場となって厩舎に復帰。4歳を迎えて重賞戦線を歩み、G3クライテリオンS(芝1400メートル、ニューマーケット)に優勝、G2シティオブヨークS(芝1400メートル、ヨーク)で実力馬キンロスの2着するなど安定した成績を残したものの、スタッフが手を焼く気性難が嫌われて前年に続いてタタソールズ・オータムセールに上場されて、この年もなぜか当日欠場となって売却を免れました。

紆余(うよ)曲折を経てついにG1にたどり着いたオーディエンスが2度のクビ危機を免れたのは、この馬の素質を買っていたロバート・ハヴリン騎手の助命嘆願があったらしく、ロッキンジSはその恩に応えるような激走でした。

陣営は次にロイヤルアスコット開催初日に行われるG1クイーンアンS(芝1600メートル、6月18日=アスコット競馬場)を予定しています。試金石となる次走の走りが注目されます。


(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは2024年5月24日現在