北海道コンサドーレ札幌に期限付き移籍で加入した元日本代表FW興梠慎三(35)が、再会した“おやじ”への恩返しを誓った。19日、沖縄キャンプにミハイロ・ペトロビッチ監督(64)と外国人選手が入国後の隔離期間を経て合流。チームは全体練習を開始した。興梠は浦和時代の5年間ともに戦い尊敬している同監督との再会を果たした。得点源としてチームの期待を背負う男は2ケタゴールを目標に掲げた。

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興梠が真っすぐ前を見つめながら思いを口にした。午前練習後、この日キャンプに合流したペトロビッチ監督について語った。「3年前におやじが亡くなって、僕的にはお父さんみたいな存在。サッカーの哲学だったりが勉強になるし、考え方も尊敬する。ミシャからのラブコールに結果として恩返しできたらいい」と決意を新たにした。

待ち望んでいた瞬間が訪れた。雨が降りしきる沖縄のピッチで、再会を果たした。「変わってないです。すごい懐かしいな」。午前の5対5での練習など、指示を出す監督の大声も響き渡った。「レッズでやっていた時と同じようなメニューだった。あれから5年がたつので忘れている部分はありましたけど、やっていくうちに思い出したというか、すごいいいトレーニングができた」と充実した表情を見せた。

浦和時代の13~17年、一緒に戦った。再会は、昨年8月9日札幌ドームで行われた試合以来。移籍決定後、テレビ電話で会話はしていたが久々の対面に「よく来たね」とあらためて歓迎のメッセージをもらった。来年1月31日までの期限付き移籍での加入。決断の理由を「やっぱりミシャの存在」と特別な感情を抱いている。

J1通算459試合で158得点と現役最多得点ストライカーの目標は明確だ。「やっぱりチームから求められているのはそこ(得点)なので、攻撃的なミシャサッカーをしてワントップで出るんだったら、2ケタゴールは取らないといけないと思う。そこを目指して頑張りたい」。12年から20年まで9年連続2ケタ得点と実績は十分。“おやじ”への恩返しを体現するべく、新天地でもゴールネットを揺らす。【山崎純一】

○…チームはこの日、18日まで3班に分かれて行っていたグループ練習から全体練習へと移行した。午前午後それぞれ約2時間、みっちりトレーニング。ペトロビッチ監督の指揮のもと、外国人選手も体を動かした。午後には通常コートの半分ほどの広さを使ってミニゲームも行われた。