東京パラリンピック開幕まで1年を切り、パラスポーツ界も新型コロナウイルス禍の中で動き始めた。5、6日には世界パラ陸連(WPA)公認の日本パラ陸上選手権(埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)が開催される。注目の種目とコロナ対策を紹介する。

<男子やり投げ>

男子やり投げのF46(切断など)が熱い。東京パラランキングの7位に山崎晃裕(24=順大職員)、8位に高橋峻也(22=日本福祉大)、9位に白砂匠庸(24=あいおいニッセイ同和損保)が名を連ねる。今後の記録の伸び次第で3人そろっての代表も期待できる。

18年に60メートル65の日本記録を出した山崎は、新型コロナによる自粛期間も多彩なトレーニングに取り組み、8月23日の千葉県選手権で59メートル51のセカンドベストを記録。高橋も7月26日の鳥取県選手権で57メートル81の自己ベストをマークしている。山崎は埼玉・山村国際高、高橋は鳥取・境高出身の元高校球児で、高橋は16年夏に甲子園の土を踏んだ。この2人に高校時代から陸上を始めた白砂がからみ、日本選手権でもランクアップを目指した熱投が繰り広げられる。

F12(視覚障がい)ではキャリア2年余りの若生裕太(23=関東パラ陸協)が東京パラランキング8位。若生も元球児で東京・日大鶴ケ丘高時代、内野手で主将を務めていた。

<女子100メートル>

女子100メートル(車いすT54)の村岡桃佳(23=トヨタ自動車)は日本選手権で自己ベスト更新を狙う。18年平昌冬季パラリンピックのアルペンスキー座位で大回転の金を含む5つのメダルを獲得し、昨年から陸上に本格挑戦。今年1月に自らの日本記録を更新する16秒34をマークし東京パラランキングで出場圏の6位につける。半年後の22年冬季北京大会の出場も目指し9月以降はスキーに復帰。再び陸上に戻るのは来春予定だけに、タイムを縮めランキングを東京当確ラインまで上げたい。

<コロナ予防対策>

日本パラ陸上選手権は新型コロナウイルス禍の収束が見通せない中で開催されるパラスポーツ界最初の全国規模のイベントになる。主催の日本パラ陸連は日本陸連のガイダンスを参考に感染予防策を徹底している。

すべての局面で「密」を避けるため、無観客で選手の家族や所属企業関係者の応援も禁止。選手の動線にも細心の注意を払い、全員に携帯用の消毒液を用意した。会場に出入りする選手、関係者などすべての人に2週間の健康チェックを義務づけている。

特に重視したのはメディア対応。ここ数年150人前後の記者、カメラマンが取材に訪れていたが、それを100人ほどに絞り込む見込み。記者のトラック、フィールドへの立ち入りを禁じ、写真撮影も一部競技は代表制に。取材に対応する選手数も可能な限り絞り込む方針を固めている。

なお、大会初日の5日の競技はYouTubeのTOKYOパラスポーツチャンネル、都内ケーブルテレビでライブ中継される。

<東京大会に出場するには?>

◆トラック&フィールド 1種目最大3人を以下の通り選考。(1)19年11月の世界選手権で4位以内(13人内定)(2)世界パラ陸連(WPA)東京パラランキング(19年4月1日~21年4月1日)6位以内(3)WPA公認大会(18年10月1日~21年6月)でWPA設定のハイパフォーマンス標準記録を突破し、(1)(2)で出場枠未獲得で8位入賞の可能性のある選手に対して推薦順位を決定

◆マラソン(車いす) 男女それぞれ最大3人を以下の通り選考。(1)19年4月のWPAマラソン世界選手権で4位以内(男子1人内定)(2)21年マラソンW杯(詳細未定)6位以内で、W杯前に出場資格を得た選手を除いて上位2人の選手(3)W杯が開催されない場合、19年4月1日~21年4月1日までのWPA東京パラランキング6位以内で、すでに出場資格を得た選手を除く上位2人の選手(4)WPA公認大会(18年10月1日~21年6月)でWPA設定のハイパフォーマンス標準記録を突破し、(1)~(3)で出場枠未獲得で8位入賞の可能性のある選手に対して推薦順位を決定