阪神矢野燿大監督(52)が20日、侍ジャパンが東京五輪での金メダルをつかむために、NPB一丸の「情報共有」を提言した。阪神からは青柳、岩崎、梅野の3人を送り出している。特に梅野は、甲斐と日本のホームベースを死守しなければならない。五輪合宿で2人が情報共有を積極的に行っていることについて、「それはもう当たり前。日本の野球界のために戦うんだから」とうなずいた。

その上で、シーズン途中だが、代表選手同士でクセを教え合うなど、通常なら極秘の情報もお互い共有するべきだと提言した。「オレも北京の時にやったけど『クセが分かっているなら教えてくれ』と。金メダルを取るためにね」と言葉に力を込めた。

グラブの開き方や腕の角度、体の開き方などで、球種やけん制などが相手にバレることがある。互いに知り得るクセを教え合い、この期間に修正すれば、同じ情報を持っている対戦国にひと泡吹かせることもできる。矢野監督は自身が出場した08年北京五輪を例に、当時の舞台裏を明かした。

「『球児、こういう時にこうなっているぞ』というのがあれば、『申し訳ないけど、日本の野球界のために出してくれへんか』と。俺も言ったし、宮本(慎也)が『ああじゃないか、こうじゃないか』というのも何人か言ってくれた」

セ・リーグのライバルチーム同士で情報を共有。目指す金メダルへ、星野ジャパンは一丸だったという。

「それで自分が打てなくなったり、チームがどうこうというのもあるけど。(情報共有が)そういうふうになってこないとダメだよね」。五輪後、クセの情報は各チームに持ち帰られ、ペナントレースの戦いで不利になることもある。一方で、逆手に取ることもできる。それらも全て踏まえて、矢野監督は力を込めた。何より最優先すべきは金メダル。五輪経験者ならではの提言だった。【石橋隆雄】