日本の宇津木麗華監督(58)は金メダルが決まると、最後のマウンドを託した上野由岐子(39=ビックカメラ高崎)と抱き合った。大黒柱に優しい言葉をかけた。

「ありがとう。本当によく頑張った。今まで日本を引っ張ってくれて、ありがとう」

最終7回。6回に1度はマウンドから降りた上野を、再び登板させた。3者凡退。監督の言葉をかみしめ、エースは感謝の思いを伝えた。

「いろいろ迷惑をかけて、すみませんでした」

最終回の継投に迷いはなかった。6回途中から後藤希友(20=トヨタ自動車)が登板。緊張する様子を宇津木監督は感じ取った。

「一番経験があり、引っ張ってきた上野しかいないと思った。迷いなく、交代しました」

上野だけでなく、頂点に立つためには後藤ら若手の活躍が不可欠だった。08年北京五輪以来となる夢舞台。14年越しの2連覇を飾り、上野は思いを込めた。

「今回金メダルを取ることができて、また一段とメディアに注目してもらえると思います。(24年パリ大会で)五輪種目じゃなくなっても、どれだけメジャーなスポーツに、今後も上げ続けられるかが大事になってくる。若い選手の育成を含め、さらにソフトボール界が盛り上がっていくように尽力したいです」

それぞれの世代が肩を組み合い、今後も日本ソフトボール界は歩んでいく。