NBA選手として国内に凱旋(がいせん)した八村塁(23=ウィザーズ)が、本場で成長したプレーを見せた。

日本代表として680日ぶりに出場し、約19分間のプレーで両チーム最多24得点、6リバウンド。日本(世界ランキング42位)の大黒柱としてチームを引っ張り、87-59でベルギー(同37位)に快勝した。オーストラリアでプレーする馬場雄大(ユナイテッド)も合流し、開催国枠で45年ぶりに出場する五輪へ向け、代表12人がそろった。

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プラチナチケットを手にしたわずか1198人の観衆が酔いしれた。第1クオーター(Q)開始約2分、「ただいま」のあいさつ代わりに3点シュートを沈めた八村は、豪快なダンクシュートをたたき込むなど、開始約7分で2桁得点に到達。この時点でのシュート成功率は100%だった。その後も着々と得点を重ね、第3Q途中からお役御免となっても、両チーム最多24得点たたき出した。

同じくNBAで活躍する渡辺雄とのホットラインで3点シュートをアシストし、リバウンドも量産するなど、得点以外での活躍も光った。試合後にコートでのインタビューで「まずは皆さん、お久しぶりです」と笑顔を見せた。

NBAプレーオフ1回戦以来、約1カ月半ぶりの実戦だったブランクを感じさせなかった。シーズン終了後は、疲労を取ることを優先させたあと、体力強化に励んだ。13日午後からチームに合流したばかりだったが、3日間の練習でチームにフィットして実戦に臨み、「コンディション的には悪くなかった。シュートタッチも悪くなかった」。オーストラリアでプレーする馬場とともに八村が加わり、“完成形”となったチームは、9日の対戦で敗れた相手を押し切った。

世界最高峰の舞台で戦ってきた自信がある。「チームの中で若いが、経験は豊富だと思っている。NBAでやってきた経験を生かし、チームに助言できると思う」とうなずく。10得点のエドワーズは「技術がすごい。いるだけでみんなの自信になる」と口にした。

日本協会の東野智弥技術委員会委員長は試合前、「(NBAでの)2年間で確実にステップアップしてきた」と八村への期待感を口にし、「ピークを五輪に持ってきてくれたら」とも話していた。この後は世界ランキング7位の強豪フランスとの強化試合(18日)を経て本番に臨む。開会式では選手団の旗手も務める日本のエースは、さらに勢いを加速して五輪開幕に臨む。【奥岡幹浩】