日本のエース吉田健人(28=警視庁)が、まさかの初戦敗退を喫した。ホセ・キンテロ(ベネズエラ)に13-15。「フェンシングを始めてから、ここまで来られたことへの感謝の気持ちを持ってプレーし、恩を返せるようにしたい」と話していたが、個人戦では悔しい結果となった。

12年ロンドン、16リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)2連覇のアーロン・シラギ(ハンガリー)を19年の世界選手権で破るなど、世界の上位を目指せる存在だった。

父の清司さんはバレーボールVリーグ男子のFC東京で総監督を務め、コーチや分析担当として88年ソウル、08年北京の両五輪に出場しており「最高の舞台だと幼少期から聞いていた。フェンシングを始めた時は五輪を目指す感覚はなかったけど、成績が出るようになってからは『ぜひ立ってほしい』という話をされるようになった」。期待に応えて日本人最速で代表に内定したが、不完全燃焼。借りは28日の団体戦で返す。

また、日本史上最年長の37歳で初の出場権をつかんでいた島村智博(警視庁)も初戦で敗れた。アンドルー・マッケービッチに13-15。大学卒業後、本場ハンガリーに単身留学するなど強化を重ね、全日本選手権は13から16年に4連覇した第一人者。本番に向けて「自分のプレーの特徴としては戦術を使って試合を組み立てていきたい。代表に入ってから長いので、関わってきた方々がたくさんいます。最高のパフォーマンスを見せて恩返しできたら。初日に登場するので、最後まで食らいつく、諦めない戦いをピスト(競技コート)の上から届けたい」と大会前に落ち着いた口調で抱負を語っていたが、こちらも団体戦へ切り替える。【木下淳】