リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)からの2連覇に挑む体操団体総合で、日本が1位通過を決めた。19年世界選手権では後塵(こうじん)を拝したロシア、中国を抑え、262・251点を積みあげた。中心にいたのは、個人総合でも6種目合計88・531点で1位通過した新エース、橋本大輝(19=順大)。8月7日生まれ、熱い太陽の中で大きく輝いてほしいと願い名付けられた新星が、母国五輪で輝きを放った。

最初の平行棒で、うれしい驚きがあった。倒立の角度などでわずかのミスがあり、「(出来栄え点は)8・5くらいかなと思ったら9・1点だった」。10点満点からの減点方式で測られるが、予想外に得点が伸びた。「もしかしたら、これは出るかも」。続く種目への期待は現実になる。

続く鉄棒。連続の離れ技などで6種目の中で難度を示すDスコアを最も上げている種目。「一番Dスコアが高いのに、一番ミスしない種目になってしまったので、自分的にも緊張あったんですけど、ポイントしってたので、堂々やってやろう」。その通り、着地までまとめて15・033点は、種目別での金メダルも見えるスコア。「勝つ自信しかない」と団体、個人総合との3冠も視野に入れた。

五輪前から、カンフル剤は橋本だった。24歳の萱、25歳の谷川が卒業後も拠点にする順大に、橋本が入学してきたのが20年4月。「無限君」と称される体力で、誰よりも練習する姿は刺激しかなかった。萱は「難しい技もすぐにできる」。代表を争うライバルであり、仲間である後輩。比較しておのれの武器を探した。18歳の北園も、学生時代から競ってきた1歳上の「世界基準」を目標に据えられた。

内村は試合後に言った。「新しい世代が生まれている。というか今日生まれた」。その中心こそが橋本。五輪の舞台でたすきは渡された。「代わりに僕が鉄棒で取って、航平さんの首にかけたい。最高に一番きれいな色を、最高に一番似合う人に」。尊敬も覚悟も、その言葉に込めた。【阿部健吾】