米ロサンゼルスに本部を置くユダヤ人の人権団体サイモン・ウィーゼンタール・センターが21日(日本時間22日)、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック開閉会式の制作チームを事実上のトップとして束ねていた元お笑いコンビ、ラーメンズの演出家、小林賢太郎氏(48)が過去に「ユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)」をネタにしていたとして、抗議の声明文を出した。

物議を醸しているのは98年のコントとみられ、人の形に切った紙が多数ある状況の説明で「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」と表現していた。当該動画がSNS上などで拡散している。

同団体は「たとえクリエーティブなものであったとしても、ナチスに虐殺された犠牲者をあざける権利は誰にもない。ナチス政権はまた、障がいを持つドイツ人を処刑した。この人物(小林氏)と東京五輪の関係は600万人のユダヤ人の記憶を侮辱し、パラリンピックに残酷なあざけりをもたらす」と非難した。

「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指す」「多様性と調和」を掲げている五輪。小林氏は、その開閉会式のクリエーター役職一覧で1番手に名を連ね、肩書は「ショーディレクター」と14日に発表されていた。

3月に女性の容姿蔑視発言で辞任した前任責任者の佐々木宏氏の下ではナンバー2として演出を手掛けていた。20年11月には芸能界引退を表明している。

開会式を巡っては、過去の障がい者いじめ告白が明るみに出た「コンポーザー(作曲家)」の小山田圭吾氏(52)が19日に辞任している。【木下淳】