東京オリンピック(五輪)の柔道の組み合わせ抽選が22日、オンラインで行われた。開会式翌日の24日に男女軽量級から始まり、日本選手団金メダル1号の期待が懸かる17年世界選手権女子48キロ級覇者の渡名喜風南(25=パーク24)は順当に勝ち上がれば、準決勝で美人柔道家として知られる18、19年世界女王のダリア・ビロディド(ウクライナ)と対戦する可能性が高い。男女の注目5階級の見どころを紹介する。

柔道日本代表
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東京五輪の柔道日程
東京五輪の柔道日程

女子48キロ級 谷亮子以来の金へ

渡名喜が先陣を切る。初戦の2回戦から登場する17年世界女王は、多彩な足技と堅実な寝技で安定した力を発揮できるのが最大の強み。ヤマ場は準決勝で当たる可能性が高いビロディドとの大一番。4連敗していた身長172センチのライバルに今年1月の国際大会で初勝利し、確かな手応えをつかんだ。初の五輪へ「挑戦」をテーマに掲げ、「金メダルへの戦い始まる」と04年アテネ五輪の谷(旧姓田村)亮子以来の頂点を狙う。


女子52キロ級 「怪物になりたい」

 大会2日目の25日に、男子66キロ級の兄一二三とのきょうだい優勝を狙う18、19年世界女王の阿部詩。16年12月のシニアデビュー以降、対海外勢59勝1敗で唯一黒星を喫したブシャール(フランス)とは決勝で当たる。超攻撃型でこれまで得意の袖釣り込み腰などの担ぎ技で白星を重ねてきたが、コロナ禍で担ぎ技を生かすための足技を習得し進化を続ける。強いを超えた「怪物になりたい」と同階級日本初の金メダルを目指す。


男子66キロ級 天敵とは4強対決

17、18年世界王者の阿部一二三は勝ち上がると準決勝で19年GSパリ大会で敗れたロンバルド(イタリア)と激突。対戦成績は1勝1敗だが、昨年12月の丸山城志郎との五輪代表決定戦を経てスタイルに厚みが増した。今年4月のGSアンタルヤでは担ぎ技を警戒され、腰の引けた相手を小内刈りで仕留めた。コロナ禍で柔道の幅を広げた23歳は「圧倒的な柔道で勝つ」と、自信を持って初の夢舞台へ臨む。


男子73キロ級 大野と王者逆の山

五輪2連覇を狙う大野将平は2回戦から登場。京都市育ちで18年世界王者の安昌林(韓国)とは決勝まで当たらない反対ブロックに入った。昨年2月の国際大会を制して以降、五輪代表14人の中で唯一実戦を経ず本番へ臨む。今大会を「2度目の集大成」と位置づける29歳は、64年東京五輪から初採用された柔道の発祥国代表として「再び日本武道館で日本柔道を体現したい」と静かに闘志を燃やしている。


男子100キロ超級 初戦から難敵続く

リオ五輪銀メダルの原沢久喜は3連覇を目指すリネール(フランス)と決勝まで対戦しない。「絶対王者」がシード圏外だったため早い段階で当たる可能性もあった。しかし、初戦の2回戦から19年世界選手権3位の金■宗(韓国)ら難敵が続く。「打倒リネール」を掲げてきた近年、100キロ級から階級を上げる強豪も増えて厳しい戦いが予想される。集大成とする今大会で大輪の花を咲かせたい。

※■は王ヘンに民