平野歩夢(22=TOKIOインカラミ)が、夏冬両オリンピック(五輪)出場を成し遂げた。 平野はスノーボードのハーフパイプで冬季五輪2大会連続銀メダリストで、両五輪出場は大会組織委員会の橋本聖子会長を含む日本人では5人だけ。 予選3回の試技で最高得点は62・03点で全体14位。上位8人による決勝進出を逃した。

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平野が2018年から取り組んできたスノーボードとの“二刀流”は、ひと区切りとなった。半年後に迫る北京五輪に向け、本職といえるスノーボードにかじを切る。雪上での戦い。今回の経験はどんな効果をもたらすのか-。平野と同じ、プロスケートボーダーでプロスノーボーダー、「ハッシー」の愛称で知られる橋本貴興(45)に聞いた。

スケボー歴は34年、スノボ歴29年の橋本は、両競技の国内大会で上位進出したこともある実力者。現在は大会出場より、映像制作に力を入れているが、豊富な経験から大会の審判員を務めることもある。

平野が優勝した19年の日本スケートボード選手権でもジャッジを務めた。「(平野は)エアは当時から、他の選手より圧倒的に高かった。雪上の急斜面での滑走に慣れているからか、スピード感あふれるライディングができていました」と振り返る。もともと3S(サーフィン、スケートボード、スノーボード)と呼ばれる横乗り系の競技は親和性が高いとされ、エアや回転系の技が多い共通点がある。橋本は「スケートボードだけやっていると技が“ちまちま”する。逆に自然の中で揉まれたスノーボードはダイナミックな動きが多い分、細かな動きが少ない」と違いを分析する。

北京五輪までは約半年。雪上への影響を懸念する声もあるが、橋本は「歩夢君が五輪という大舞台を目指して取り組んできたことは、自分だけのスタイルを磨く上で大きくプラスに働く」と期待を寄せた。【平山連】