新型コロナウイルスの出現により、スポーツ界にも多くの支障が出たと感じるこの3年でした。終息の兆しが見えつつある今日、また新たな問題が起こりました。ご存知の通り、ロシアのウクライナ侵攻です。状況は刻々と変化しています。大国ロシアのパワーはまさに未知数。ロシアVS  NATO・米といった図式が見えるわけですが、そんな中、予定されていた今シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝がロシア・サンクトペテルブルクからパリでの開催に変更。板倉選手所属のシャルケの胸スポンサーもロシア企業だったが故に一時的に隠されるというニュースも。非常に大きなインパクトになりつつあるこのロシアの軍事行動ではありますが、今回はそのロシアを支える天然ガスによるロシアマネーの大きさを改めてのぞいてみたいと思います。

2000年以降、フットボール界も一部このロシアマネーの恩恵を受けています。鍵となるワードは「ガスプロム」と「アブラモビッチ」、「シブネフチ」になりますでしょうか。ガスプロムはCLのメインスポンサーの企業で、ロシアの天然ガス企業最大手です。2005年から、地元のサッカーチームであったゼニト・サンペテルブルグのメインスポンサーですが、2012年には日本でも活躍したフッキ選手を当時の50億円超とも言える金額で獲得し、CLでもベスト16、ベスト8に顔を出すなど活躍しました。同時期に日本からも本田選手がCSKAモスクワに移籍し、CLで活躍ましたが、このCSKAモスクワのスポンサーだった企業がシブネフチです。シブネフチはガスプロムの傘下企業になり「ガスプロムネフチ」となりましたが、このシブネフチのオーナーがアブラモビッチ氏。アブラモビッチ氏はロシアの天然ガスを売り捌いたお金でチェルシーを買収し、現在に至ります。以前からも色々なロシアマネーの匂いのするところにアブラモビッチ氏が絡んでおり、CLメインスポンサーの企業に関与していながらチェルシーのオーナーの顔を持ち、それがドイツ・シャルケのメインスポンサーということもあったりと、お金を支払っている側の人間が何故か煙たがられるケースがあったりとマネーゲームの当事者の顔が見受けられます。

金額こそ公になっているわけではありませんが、買収金額は当時1億4000万ポンド(現在のレートで約200億円)と言われました。現在の市場価値からすると安価だったわけですが、大きな金額であることには変わりません。

シャルケとは年間で最大2500万ユーロの契約とされており、現在のレートで32.5億円前後。そのほかにも、レッドスター・ベオグラードやUEFAスーパーカップなど多くのところに投資してきました。中でも2018年のW杯ロシア大会に絡めてFIFAのオフィシャルパートナーになっていたことは、国自体が大会をサポートしている姿勢を見せるだけでなく、多くの方々にその存在を示した形となったのではないでしょうか。

ところが、今回の件で一気に崩れるどころか、今後ロシアマネーの恩恵を受けることができなくなる可能性があることを想像すると、今回のアクションはスポーツ界にとって大きなダメージとなる気がします。中国の不良債権によるチャイナ・マネーを失い、コロナで一般の方々からのチケット代やグッズ収入も大きく減少し、さらに今回のウクライナ危機。歴史的な背景や政治と大きく関わるスポーツ業界ではありますが、次から次へと災難が降りかかっています。コロナも含め、改めて平和であってこそのスポーツと痛感させられますが、ここからどのように再建していくのか、注目していきたいと思います。【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)