北海道コンサドーレ札幌の選手らは、6日未明に発生した北海道胆振東部地震の被災者となった。主に札幌市内に自宅があり、停電や断水など、ライフラインの復旧まで不自由を強いられた。練習が再開した8日、震災当時の様子を選手やスタッフに聞いた。

チーム内の安否確認は主にLINEで行われた。ただ、インターネットがつながりにくいなどで、返信が遅れる選手もいた。そんな場合は、心配したスタッフが信号機の点灯していない道路で車を走らせ、自宅を訪問。無事を確認した。チーム広報から報道陣に全員無事の知らせが届いたのは、6日午前8時過ぎ。“連係プレー”で迅速な対応だった。

選手はお互い助け合い、突然襲われた苦難にチーム力で立ち向かっていた。FW都倉賢(32)の自宅の電気が復旧したのは7日夜だった。停電していた6日夜は、真っ暗な部屋で懐中電灯とキャンドルの明かりを頼りに過ごした。キッチンに設置されているのはIH調理器のため、調理ができない。電力がないため給湯できず、お風呂も利用できない。そこでMF稲本潤一(38)に助けを求めた。昼食やお風呂を世話になったという。

MF兵藤慎剛(33)宅には、給水がストップしたMF早坂良太(32)が駆け込み、マンションのエレベーターの運転停止などに困ったGKク・ソンユン(24)は、同じ韓国出身のDFキム・ミンテ(24)宅を訪れていたという。LINEでの情報交換は積極的に行われ、お互いの現状などはチーム内で把握し合っていた。

そんな非日常の瞬間を振り返り、都倉はしみじみこう言った。「見えない結束とか、みんなで助け合おうとか、いつも以上に潜在意識のなかでつながったと思う」。7日ぶりの練習で顔を合わせた選手やスタッフは、心から再会を喜んでいる様子だった。

記者も地震発生前まで取材で毎日目にしていた選手らの元気な姿を見られて、ほっとした。ただ、北海道内にはまだ日常を取り戻せていない方もいる。悲しい思いをした方もいる。北海道コンサドーレ札幌の結束は、高まっているはず。力に変えて残り10節を戦い抜いて欲しい。そして記者は彼らの奮闘を記事で伝え、北海道民を元気づける手助けをしたい。【保坂果那】

(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆保坂果那(ほさか・かな)1986年(昭61)10月31日、北海道札幌市生まれ。13年から高校野球などアマチュアスポーツを担当し、16年11月からプロ野球日本ハム担当。17年12月からコンサドーレ札幌担当。