柏レイソルが日本代表MF伊東純也(25)の2得点の活躍などで2位サンフレッチェ広島に3-0で快勝し、5試合ぶりの白星で暫定14位と降格圏を脱出した。台風25号の影響でピッチに強風が吹き荒れる中、伊東は風上に立った前半に追い風を味方につける鮮やかなボレーシュート2発で勝負を決めた。残留争いにあえぐチームに貴重な勝ち点3をもたらし、8日から合流する日本代表活動にも弾みをつけた。

伊東はゴールへの思いを風に乗せた。風上から攻めた前半の23分、左CKのこぼれ球が目の前に飛んできた。「トラップする暇がなくてダイレクトで狙ったら、いいとこに飛んだ」。追い風に押されたボールは左サイドネットに突き刺さった。続く27分にも2点目を挙げ、チームを5試合ぶりの勝利へと導いた。

試合開始午後2時の広島地方の風速は台風25号の影響で11・7メートル。ピッチにも強風が吹き荒れた。スポンサーの立て看板は撤去され、コーナーフラッグは大きく傾いた。グラウンダーのパスもまともに通せない状況で、ロングボールを多用する方向で意思統一。伊東もドリブルの回数を減らした。2点目のボレーシュートは風による変化も考え、右足アウトサイドで鋭くスピンをかけた。「曲げて落ちるような、イメージ通り。風を利用してうまくいったかな」と自画自賛するゴールで突き放し、日本代表戦前最後のリーグ戦でアピールに成功した。

体調は万全ではなかった。1カ月以上前から原因不明の「風邪みたいな症状」に悩まされており、薬を飲んでもせきが止まらなかった。9月22日の鳥栖戦では呼吸が苦しくなり、前半のみで交代を直訴。同30日の浦和戦で今季全試合先発出場が途切れた。それでも「体力面は大丈夫。オレンジジュースがせきにいいって聞いてひたすら飲んでる」とチームのために回復に努めた。

8日からは12、16日に国際親善試合を戦う日本代表の合宿に合流する。9月に招集されたコスタリカ戦では得点も挙げ「ここからは切り替えて。欲を出さず、自然体で頑張っていきたい」と意気込む。柏の疾風ドリブラーは前だけを見据えている。【松尾幸之介】