第101回全国高校サッカー選手権が28日に開幕する。

4年ぶり2度目の出場で全国初勝利を目指す浜松開誠館は、31日の2回戦で大津(熊本)と対戦(埼玉・浦和駒場スタジアム、午後2時10分)。日刊スポーツ静岡版では今日8日から「浜松開誠館 新しい景色へ」と題して、チームの顔触れを連載する。第1回は、MF今井航(3年)。県選手権のMVPは無尽蔵のスタミナを武器にチームを引っ張る。

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プレーに派手さはないものの、欠かせない存在だ。今井はピッチを縦横無尽に走り回り、チームを活性化させる。こだわりは「誰よりも走って貢献すること」。数字には表れない献身的なプレーが評価され、県選手権では大会MVPを受賞した。

悔しい経験が成長への転機になった。5月の県総体では準々決勝で優勝した磐田東にPK戦の末、惜敗。不動のボランチだった今井は同試合での敗戦後にレギュラーから外された。「自分の中では原因は分かっていた。きれいにプレーしようとしていた」。夏休み中には北陸大の練習に参加。大学生と練習したことで意識も高くなった。「全ての面で基準を上げなければいけないと感じた」。人一倍走る本来のプレーを取り戻し、9月には再び先発の座を勝ち取った。

同校のユニホームを着て戦う誇りも理解している。2016年度の県選手権決勝をスタンドで観戦。当時小学生だった今井はあきらめずに戦う浜松開誠館のプレーに目を奪われた。「全員が走って、戦う姿勢を見せていた」。試合は藤枝明誠に敗れて全国出場を逃すも、あこがれの気持ちは変わらなかった。

中学から浜松開誠館中に入学。目標にしてきた全国選手権は中高6年間の集大成を見せる舞台でもある。同校は前回出場した2018年度大会で初戦敗退。チームにとっては全国初勝利と、その先の「新しい景色」を目指す戦いだ。「自分ができることは、とにかく走りまくってチームを助けること。初戦を必ず勝って新しい歴史を刻みたい」と今井。開誠館の「ダイナモ」は勝利のために汗をかく。【神谷亮磨】

◆今井航(いまい・こう)2004年(平16)12月3日、浜松市生まれ。小1からサントスFC(浜松)でサッカーを始め、中学は浜松開誠館中でプレー。家族は両親、弟。167センチ、60キロ。右利き。血液型A。