強心臓ルーキーが、ベガルタの歴史に名を刻む。Jリーグ開幕となる今日1日、仙台はホームに新潟を迎え撃つ。アーノルド監督(50)の初采配試合で、DF二見宏志(21=阪南大)の左サイドバックでの先発出場が濃厚。仙台の新人開幕スタメンはJ2だった05年のMF富田晋伍以来9年ぶり。J1ではクラブ史上初となる。

 今シーズン最も出遅れた男が、驚異的な追い上げを見せた。第1次鹿児島キャンプは卒業試験とJの新人研修が重なり、ただ1人不参加。9日遅れで2月4日に初合流すると持ち味の積極性をアピールし、キャンプ終盤から左サイドバックに定着した。同28日の前日練習で行われた11対11のミニゲームでも主力組でプレー。「まだ(先発か)わからないんで」と前置きした上で「夜も普通に寝られると思うけど、ピッチに立ったらどんな気持ちなんでしょうね」と目を輝かせた。

 新人らしからぬ堂々たるプレーで信頼を勝ち取った。2月19日のC大阪との練習試合で主力組に抜てきされると、FW柿谷ら日本代表相手に真っ向勝負。結果は1-4で敗れたが、アーノルド監督は「収穫はヤングボーイの二見だ」と珍しく個人名を挙げて評価した。DF石川直も「あんなに負けん気の強いヤツは、なかなかいない。いい部分を出してあげられるようにしたい」とルーキーのサポートを約束する。

 「秘密兵器」の発射準備も整った。この日セットプレーの確認を終えると、コーチ陣から「最後に二見のロングスローを2本やろう」と初指名を受け、自慢の“強肩”を披露した。短い助走から低い弾道でゴール前まで届かせた二見は「流れの中で点を取れればいいけど、一発はありますよ」とニヤリ。昨年8月のアウェー柏戦で、強化指定選手としてJ初出場を果たしたが「まだホンマのデビューはしていない」と言い続けてきた。クラブ初の快挙とともに、故郷の奈良から駆けつける両親と仙台サポーターの前でプロとしての第1歩を飾る。【鹿野雄太】

 ◆二見宏志(ふたみ・ひろし)1992年(平4)3月20日、大阪市生まれの奈良市育ち。鼓阪北小1年からFORZAFCでサッカーを始める。奈良育英高を経て阪南大に進み1年秋から公式戦出場。2年から全日本大学選抜入りし、4年夏はユニバーシアード日本代表として銅メダル獲得。家族は両親、姉、妹。179センチ、75キロ。血液型B。