国際陸連(IAAF)ワールドチャレンジ第2戦「セイコー・ゴールデングランプリ大阪」(日刊スポーツ新聞社共催)が20日、ヤンマースタジアム長居で開催される。国内外のトップアスリートが集結し、白熱の戦いが期待される。

 ニッカンスポーツ・コムでは世界から集結するトップアスリートに挑む日本の6選手を紹介する。第6回は桐生祥秀(22=日本生命)。

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 1年前とはまったく違う心境がある。桐生は練習場に到着すると、よく口にする。「これから仕事」。今春に東洋大を卒業。日本生命とは所属契約で、実質プロとなった。競技者として報酬をもらっている以上、求められるのは結果、インパクトを残すこと。学生時代にはない覚悟がある。

 12日のダイヤモンドリーグ上海大会は10秒26の最下位だった。それでも世界の強豪を「前のように遠くは感じなくなってきた」と言う。強がりではない。昨年の世界選手権100メートル金ガトリン(米国)同200メートル金グリエフ(トルコ)16年リオ五輪100メートル銅ドグラス(カナダ)らとの差を0秒1以内に抑えただけでなく、確かな根拠がある。

 以前は強豪相手に先行されると、体が反るなど力む悪癖があった。ただ上海は理想のフォームのまま最後まで駆け抜けた。結果だけ見れば、中盤以降に差をつけられた格好だが、それは今季100メートル初戦で状態が仕上がっていなかったから。原因は明確。スピードが例年の水準に戻れば、世界と渡り合える自信を得た。

 明日20日のセイコー・ゴールデングランプリ大阪(ヤンマースタジアム長居)に向けては「楽しみなメンバー。どれだけスピードを上げられるか」と話す。速く、強い男だと証明する。【上田悠太】(おわり)

 ◆桐生祥秀(きりゅう・よしひで)1995年(平7)12月15日、滋賀県彦根市生まれ。彦根南中で陸上を始め京都・洛南高3年の13年4月に100メートル日本歴代2位となる10秒01を記録。14年日本選手権初優勝。17年9月に日本人初の9秒台となる9秒98をマーク。400メートルリレーはともに第3走者で、16年リオ五輪銀、17年世界選手権銅に貢献。家族は両親と兄。最近は英語も勉強中。176センチ、70キロ。