優勝候補、青学大の選手層の厚さは別格だ。学生記録で速いとされる5000メートル13分台が26人。エースの近藤幸太郎(3年)の28分10秒50を筆頭に、エントリーメンバー全16人が1万メートル28分台は史上初だ。なぜここまで強くなったのか。「例年に比べ、勝つんだという意識が強い」。チーフマネジャーにあたる野川寛太主務(4年)は、まず意識の変化を挙げた。

前年度の学生3大駅伝は、出雲駅伝は開催されず、全日本大学駅伝、箱根駅伝とも4位。特に箱根では、絶対的エースで主将の神林勇太が直前に負傷。欠場を余儀なくされ、チーム内に動揺が広がった。「神林さんがケガして、精神的、能力的にもレベルが1個落ちてしまうと、試合では勝てない。それを経験したのが今の3、4年でした」。

苦い経験を生かし、チームとして勝負強さを目指した結果、勝ちにこだわる自主的な行動も増えた。各選手の走る距離が全体的に増えた。それぞれの裁量で走る普段の「各自ジョグ」は、軽く10~20分、走って上がることが普通だった。今年は30~40分、多いと1時間走る選手もいたという。

「他大学でも各自ジョグはあるけど、すぐ終わったりと手を抜く人が多いと思う。他大学のエースはそういった中でも自分で考え、目標を持って、走っているとよく聞いていた」と明かした上で推測した。「他大学のエースがやっているようなことも、ウチは全員がそれぞれ考えながらやれているから、今年はすごくタイムが出ているのではないでしょうか」。

昨年は高速化を生んだ厚底シューズの影響から、腰回りの炎症や疲労骨折で、練習を継続できなかった選手が多かった。今年から厚底シューズ対策として、下肢トレーニングを開始。週1回は大腿(だいたい)四頭筋を鍛えるスクワットのようなトレーニングを全員で取り組んだ。選手寮にバーベル1セットを置き、いつでもトレーナーに見てもらいながらウエートトレーニングできる環境も整えた。

野川主務は「走り込みに上乗せする形で付属的なトレーニングが加わり、競技力が上がったのでは」とみている。【近藤由美子】

◆野川寛太(のがわ・かんた)1999年(平11)5月1日、愛知県生まれ。愛知高卒業後、青学大教育人間科学部教育学科に入学し、陸上競技部(長距離ブロック)に入部。箱根駅伝後の2年生終盤からマネジャーに就任。現在は主務を務める。趣味はサッカーで、中学までJ1名古屋の下部組織に所属していた。