<陸上世界選手権>◇8日目◇17日◇モスクワ・ルジニキスタジアム◇男子200メートル決勝

 「生きる伝説」ウサイン・ボルト(26=ジャマイカ)が、男子200メートルを19秒66で制し大会史上初の3連覇を達成した。100メートルとのショートスプリント2冠目を手にした。スタートから圧倒し、コーナー出口付近で勝負あり。最後は余裕で流し、世界選手権7個目の金メダル獲得となった。今日18日の最終日に行われる男子400メートルリレーで、世界大会4回目の3冠達成を狙う。

 強さが際立った。この種目史上初の3連覇はもちろん、09年ベルリン大会に続く100メートルとの2冠を2度獲得も史上初。輝かしいボルトの経歴に、新たな勲章が加わった。

 10代前半までクリケット選手でもあったが、才能を見いだされて陸上に専念。「陸上を本格的に始めてから、最初の目標が世界選手権の200メートルで勝つことだった」と語るこだわりのタイトルを楽々と守った。

 100メートルの準決勝後に脚の痛みがでた。米国の大学の研究によると、ボルトは一般男性が短距離を走る際の2倍に当たる約450キロの力でトラックを蹴るという。恵まれた体から生み出される爆発的な力を、他のアスリートを子供扱いする強さに変えている。

 言動も破天荒。前日16日午前の予選ではタイムリミット1分前に招集所に来て1着通過。「いいぜ、いい感じだ。脚は良くなっている。それに、おれは朝型の人間じゃない。できるだけ簡単に力を使わないで通るぜ」と言い放った。21日で27歳になる陸上界のスーパースター。「伝説になりたい。そのために金メダルをできるだけ獲得したい」と公言する貪欲さがある限り黄金時代は続きそうだ。