国際オリンピック委員会(IOC)が9日の臨時理事会で、2024年と28年の夏季五輪開催都市を同時に決める異例案を承認した。9月の総会で正式に振り分けられるが、24年はパリ、28年はロサンゼルス開催が有力となった。

全仏オープンジュニアワイルドカード選手権の公式練習に参加した日本の永田杏里(左)と白石光
全仏オープンジュニアワイルドカード選手権の公式練習に参加した日本の永田杏里(左)と白石光

 東京の4年後へ、日本テニス界は新たな対策を迫られる。招致計画では、会場が全仏オープンの舞台ローランギャロスになるからだ。代名詞の「赤土」は日本では練習できる施設が限られる。その中で日本の高校生が貴重な経験を積んだ。

 ランキングでは本戦に出場できない世界の若手にチャンスを与える大会「全仏オープンジュニア ワイルドカード選手権 in partnership with LONGINES」。5月末にローランギャロスで行われ、男子の白石光(17=ジュニア世界ランク255位)と女子の永田杏里(17=同76位)が、全仏ジュニア本戦の推薦出場枠をかけて優勝を争った。

全仏オープンジュニアワイルドカード選手権の初戦を制した日本の永田杏里(5月25日、パリ・CAモンルージュ)
全仏オープンジュニアワイルドカード選手権の初戦を制した日本の永田杏里(5月25日、パリ・CAモンルージュ)

 2回目の今年、日本は初めて男女とも決勝に進出。白石はインド代表に敗れたが、永田は米国代表を下して優勝。本大会こそ1回戦敗退だったものの「最も出たかったグランドスラム」を、いち早く体感できた。

 “24年パリ五輪”を迎える時、2人は24歳。その前に赤土を踏めた経験は大きい。白石は「本場の赤土は想像以上に球が弾んだ。普段は年1、2回しか土で練習できない。このイメージを日本に持ち帰って練習したい」。今から意識が変われば成果も変わるはずだ。

 東京からパリへ。日本協会が、フランス連盟と海外協会では初めて提携したことも強化を加速する。フランス代表コーチのティエリ・トゥラーヌ氏(53)は「今後、合同合宿できれば相乗効果で強くなるし、ぜひ我々の赤土施設も利用してほしい。反対に大和魂を教えてほしいね」。仮想パリ五輪を経験した若手の躍進に期待したい。【木下淳】