■体脂肪のメリットとデメリット

 一方でランナーの食事としては好ましくないものもある。例えば脂を多く含むもの。「体脂肪は走るためのエネルギーになるのでとても大事なんですけど、ただ、重りにもなる」とのデメリットも。痩せすぎの体形でないなら、すでに蓄えられている体脂肪で十分なのだそう。食事の具体例では「『おかず』でいうと、サーロインではなくてヒレ肉にするとか、鳥なら胸肉の脂を取って。ちくわなどの練り物も低脂肪です。魚なら赤身より白身が低脂肪ですが、赤身魚は鉄分を多く含んでいるので、貧血対策をしたい人には良いです」。とくに太りすぎの体形のランナーは食事の脂肪分に注意したい。

■アルコールはご法度?

 また、日頃から飲酒を楽しんでいるランナーにとって気になるのは、アルコールの摂取だろう。アルコールと疲労物質は、両方とも肝臓で分解される。つまり、トレーニング後にアルコールを摂取すると疲労物質の分解が妨げられるため、疲労回復が遅れるというデメリットがある。また、アルコールの分解には糖質を使うため、蓄えられたエネルギーを浪費することにもなる。また、利尿作用による脱水にも注意しなければならない。激しいトレーニングをする時期や、レース直前の飲酒は控えた方が懸命だろう。

■お菓子やラーメン…食べてもイイの!?

 「基本的に『食べてはいけないもの』はないんです。もちろん、脂身の多いお肉だとかスナック菓子、生クリーム、ラーメンといったものは控えた方が良いですが、絶対に食べてはいけない、というのではなく、食べ続けなければそれほど問題ありません。ただ、自分が食べたものを自覚して、『この栄養素を余分にとってしまったから、次回から調整しよう』というふうに、自分の食事を意識することが大切なんです」。必要な栄養素はランナーの体質やコンディション、そして目的によっても変わってくるため、自分に合わせて調整することが大事だが、松崎さんいわく「とにかくバランスが大事。良い栄養素であっても偏ってとってしまっては逆効果です」。レースまでまだ期間があるトレーニング時期には、5大栄養素をバランス良くとる食事を心掛けたい。

細かい調整が必要になってくるのはレース直前、3日前頃から。その調整については次回お伝えしたい。

◆松崎愛(まつざき・あい)
 株式会社明治 栄養営業本部
 スポーツ栄養マーケティング部 マーケティングG マラソン担当
 07~08年全日本男子柔道の栄養サポートを担当し、07年ブラジル世界選手権、08年北京五輪に帯同。その後、楽天野球団ジュニア育成担当、ジャイアンツアカデミーのジュニア育成に従事。Jリーグ下部組織(契約チーム)への栄養情報普及活動の他、バレーボール元日本代表の山本隆弘氏の栄養サポートを担当。現在はVAAM・ザバスのブランド担当として活動している。